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ナガイモ(長芋)の育て方・栽培方法です。関東地方を基準にした栽培の手順を紹介します。 |
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栽培難易度 | (ふつう) |
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植え付け時期 | 4月中旬~5月中旬 |
収穫時期 | 10月~12月 |
ナガイモはこんな野菜
ヤマノイモ科の野菜。生育適温は20~25℃。乾燥に弱い。発芽適温は17~25℃。適正土壌pHは6.0~6.5。毎年同じ場所で栽培すると連作障害が発生するので、3~4年あける。
ナガイモは1mを超えることもある円筒状の芋で、粘りが弱いのが特徴。夏になると蔓(葉腋)にはムカゴができる。ムカゴは食用にしたり、繁殖に利用できる。
品種には、代表的な長芋『徳利いも』、長芋より粘りがある『ねばりいも』などがある。
ナガイモの育て方(1) 土作り
畑は使用する2週間前までに耕し、苦土石灰を100g/m²散布して、土とよく混ぜておく(土壌酸度の調整)。
1週間前になったら、畝を立てる場所の中央(種芋を植える位置)に幅25cm、深さ80~100cmの植え溝を掘る。深く掘るのが難しい場合、高畝にすれば、その分、深く掘らなくても済む。
植え溝は掘ったら、すぐに埋め戻すが、その際、芋が変形する原因となる、石などを取り除いておく。ナガイモの栽培では、芋の伸びる場所(植え溝)が深く耕してあれば、畑全面を深く耕す必要はない。
植え溝を埋め戻したら、元肥として、牛糞堆肥3L/m²、化成肥料(8-8-8)100g/m²を均一に施して、土とよく混ぜ、幅60~100cm高さ10cm(1条植え)の畝を立てる(全面施肥)。養分を吸収する吸収根は、地表近くに分布するので、植え溝には肥料分は混ぜなくてよい。
ナガイモは芋が長く伸びるので、収穫が大変だが、波板栽培やパイプ栽培をすると収穫が楽になる。
ジネンジョ(自然薯)もナガイモと同じような方法で栽培できる。
ナガイモの育て方(2) 植え付け
ナガイモの種芋の植え付け時期は4月中旬から5月中旬。
市販の種芋はそのまま植え付けるが、大きなナガイモを切り分けて種芋にする場合は(切り芋)、1片あたり100~150g程度に分割して、1週間程度、風通しの良い場所に置いて、切り口を乾燥させておく。
畝の中央(植え溝の真上)に種芋を株間30cmで植え付ける。覆土は5~6cmにする。芽が出るまでには、2~4週間ほどかかる。
収穫する芋は、毎年、種芋を養分にして新しく形成される(種芋は大きくならない)。
ムカゴから種芋を作る場合は、春にムカゴを畑に植え付け(覆土3cm、株間6cm、条間20cm)、晩秋まで育てる。翌春になったら種芋として植え付ける。
ナガイモの育て方(3) 支柱立て
植え付け後、2mの支柱を立てて、蔓を支柱に誘引する。
ナガイモの育て方(4) 芽かき
1個の種芋から複数の芽が伸びたときは、芋の肥大が悪くなるので、1本を残して他の芽を摘み取る。
ナガイモの育て方(5) 追肥
追肥(化成肥料30g/m²)は6月中下旬頃に施し、その後、8月上旬までに1~2回施す。
ナガイモの育て方(6) 敷きわら
梅雨明け後、敷きワラをして土壌の乾燥を防ぐ。
ナガイモの育て方(7) 収穫
ナガイモの収穫時期は10~12月。
地上部が枯れてきた頃に収穫を行う。株の周囲にスコップを入れて土を崩し、折らないように芋を掘り取る。
保存する場合は、芋をポリ袋に入れて、3~5℃くらいの冷暗所に置く。温暖な地域では、掘り出さないで、畑で越冬させることもできる。
つるにできたムカゴの収穫は10月頃から行う。収穫したムカゴは、ご飯と一緒に炊いて、ムカゴ飯などにする。
ナガイモの波板栽培・パイプ栽培
かたい土層があるなどの理由で、畑を深く耕すことが出来ない場合は、波板栽培をすることもできる。
ナガイモの波板栽培をする場合は、長さ120~130cm程度の波板を15~20度の角度で傾けて畑に置いて、土をかぶせ、その上に種芋を植える。晩秋、埋めた波板を掘り出せば、芋を折ることなく、収穫ができる。
地中に埋めた塩ビ製のパイプの中で芋を肥大させて、芋の掘り取りを容易にした栽培方法もある(パイプ栽培)。
ジネンジョ(自然薯)の育て方
ジネンジョ(自然薯)もナガイモと同じような方法で育てることができる。ジネンジョはナガイモと違って、芋の粘りが非常に強いのが特徴。芋は細長く伸び、長さは1mを超えることもある。
大きなジネンジョを切り分けて種芋にする場合は、1片あたり50~80gに分割して、切り口を乾燥させる。
ジネンジョは地温25℃以上になると吸収根の働きが鈍くなる。また、地温が27℃以上になると、芋がくねくねと蛇行するようになる。