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自作したキウイ棚(ブドウ棚)でキウイの栽培をしました。そのときに使用した材料とかかった費用、収穫までの栽培記録をまとめました。 |
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キウイのような、つる性果樹の栽培では、つるを誘引するための場所(垣根や果樹棚)が必要になります。そのため、単管パイプを使って、小さなキウイ棚を作ることにしました。
小さなキウイ棚(ブドウ棚)を作る
下の写真が作ったキウイ棚(ブドウ棚)です。大きさは、縦180cm、横130cm、高さ200cmというもので、果樹棚としては非常に小型のものです。
通常、キウイ棚は天井にワイヤーなどをはってそこにつるを誘引するのですが、ワイヤーのかわりにφ22.2という細めのメッキパイプを固定してそこにつるを誘引できるようにしています。
誘引する面積をかせぐため、天井以外の側面にもφ22.2のパイプを固定して、側面と天井をあわせた4面分の面積を使えるようにしてあります。筋交いも4箇所つけているので構造上かなり頑丈です。
四隅や筋交いはこんなふうに繋いでいます。
キウイ棚を作った場所はもとは自転車小屋だったので、床は最初からコンクリートになっています。小屋の解体後、コンクリートに振動ドリルで穴をあけ、ステンレス製のアンカーを打ち込んで、キウイ棚の土台を固定しました。
使用材料と費用
以下はキウイ棚(ブドウ棚)を作ったときの使用材料と費用(材料費)をまとめた表です。
材料はすべて、ホームセンターのコメリまたはムサシで購入しました(メッキパイプ、直交ミニクランプはムサシ)。価格は棚を作った2008年当時のものです。
材料 | 数量 | 単価(合計) |
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φ48.6固定ベース(土台) | 4 | 248円(992円) |
φ48.6単管パイプ1.0m(筋交い用) | 8 | 490円(3,920円) |
φ48.6単管パイプ1.5m | 2 | 750円(1,500円) |
φ48.6単管パイプ2.0m | 6 | 915円(5,490円) |
φ48.6自在クランプ(筋交い用) | 16 | 168円(2,688円) |
φ48.6直交クランプ | 8 | 168円(1,344円) |
φ48.6パイプキャップ | 28 | 35円(980円) |
φ22.2メッキパイプ1.5m(3.6mのものをカット) | 12 | 379円(4,548円) |
φ22.2メッキパイプ2.0m | 4 | 450円(1,800円) |
φ22.2(φ25.4兼用)x48.6直交ミニクランプ(平和技研) | 32 | 320円(10,240円) |
φ22.2パイプキャップ | 32 | 10円(320円) |
ステンレス ルーティアンカー SC-1060X | 16 | 168円(2,688円) |
なべ小ねじステンレス M5x20(固定ベース抜け防止用) | 2 | 125円(250円) |
水性塗料(カンペハピオ カントリーライフカラーブラウン) | 1 | 1,580円(1,580円) |
製作費合計は38,340円でした。
キウイ棚の大きさの割には結構、高額になりましたが、これはφ22.2のパイプをワイヤーの代わりにして、なおかつ4面分(16本)を使用しているためです。φ22.2のパイプを天井の1面(4本)だけにした場合は、25,000円程度です。ターンバックル等を利用して、ワイヤーを張るだけにすれば、更に製作費を抑えることもできそうです。
材料を一から揃えるのが大変だなと思っている人は、材料がすべて揃った、市販の果樹棚セットがあるので、それを購入してもいいと思います。
果樹棚が必要な果樹
栽培するときに果樹棚が必要になる、つる性の果樹です(垣根を利用することも可能)。
キウイの栽培記録
2008年の春にキウイを栽培するため、キウイ棚を作りました。そして、同じ年の秋に、ヘイワード(雌品種)とトムリ(雄品種)という品種の苗木を購入して植え付け、栽培をはじめました。栽培地域は関東甲信越地方です。
以下の記録は、キウイの苗木の植え付けから、収穫までをまとめたものです。摘果や収穫、剪定の方法は『キウイの育て方・栽培方法』を参考にしました。
苗木の植え付けからほぼ1年
2009年9月25日。苗木の植え付けからほぼ1年が経過しました。ヘイワード(雌品種)はキウイ棚の下に植えていますが、トムリ(雄品種)は植え付け場所が無かったので、鉢植えにしています。
支柱に沿わせてヘイワードのつるを棚上まで誘引していますが、まだ棚上(2m)までは達していません(写真右)。支柱をはずすとつるは自立できずに垂れ下がってしまうので、当分は支柱をつけておくことにします。植え付け時のつるの長さは50cmほどでした。
大雪が降ったあとのキウイ棚
2010年2月12日。雪の積もったキウイ棚です。大雪で50cm以上も雪が積もりましたが、棚の上はスカスカなので雪は積もっていません。
葉が出てきた
2010年4月14日。芽から葉が出てきました。
主幹を1本にする
2010年5月4日。主幹用の枝1本と予備用の枝1本を残してつるを伸ばしていたので、現在はキウイの主幹が2本ある状態です(写真左)。そろそろ、どちらか1本を切除して、主幹を1本に絞ることにします。
右の写真が枝を切除して1本にしたところです(つるの長さは140cm)。併せて、枝の先端付近以外から出ている枝はすべて間引いて、樹勢が先端部に集中するようにしました。
棚上までつるが到達
2010年5月22日。つるの長さは220cmになりました。とうとう棚上までつるが到達しました。
つるが更に伸びる
2010年6月3日。つるの長さは270cmになりました。
主幹にビニタイがめり込む
2010年10月9日。キウイ(ヘイワード)の主幹(つる)の太さは1cmになりました。支柱に縛っていたビニタイに成長したつるがめりこんでいました。すぐにビニタイをゆるめて余裕をもって縛り直しておきました。
簡単な剪定を行う
2011年3月24日。現在のつるの状態は写真のとおりです。まだ、あまりつるが伸びていないので、それほど込み合っていません。簡単な剪定を行いました。
芽が動き出す
2011年4月11日。芽が動き出しました。
棚上のつるのようす
2011年5月4日。棚上で伸びるつるは写真のような感じです。まだスカスカです。
蕾を発見
2011年5月19日。伸びたつるに蕾がついているのを見つけました。ただ、困ったことに受粉用に植えているトムリ(雄品種)には花芽はつきませんでした。花がせっかく咲いても受粉できないので、今年は果実を収穫できそうにありません。
初めて開花
2011年6月6日。開花しました。
結実したので摘果をする
2011年6月25日。受粉樹がないのに何故かいっぱい結実しました。近所にキウイの木があるので、虫媒などで受粉したのかもしれません。現時点で50個以上は実がついていると思います。果実の大きさは2cmくらいです。
かなりの量の果実がついたので、摘果することにします。1箇所に3個くらいついているので、生育のよい1個だけを残して摘果しました。写真左が摘果前、右が摘果後です。
全部で35個を摘果しました。今ついている果実は30個くらいです。現在のキウイのつるが伸びている面積は1.3×1.3mくらいです。
キウイの場合、結実させる果実の目安は1平方メートル当たり20~25個くらいです。生理落果する分も含めて、これくらい残したのですが、初めての結実なので、もっと摘果してもよかったかもしれません。
果実は順調に肥大
2011年7月22日。大きいものでは実の大きさが7cmくらいになりました。
初めての収穫
2011年12月1日。葉でいっぱいになりました。
当初はつるをキウイ棚の側面にも誘引するつもりでしたが(そのつもりで側面にもパイプをつけた)、天井部から側面へ(上から下へ)、つるを誘引しようとすると、つるが付け根から折れてしまうことが判明したので、結局、側面への誘引は断念しました。成長初期のつるがやわらかいときに側面に誘引していれば、うまくいったのかもしれません。
いっぱい果実がついていますが、ほかの果樹のような生理落果はほとんどありませんでした。キウイはこのまま樹上につけておいても熟さないので、収穫することにします。
キウイは適期になると果梗を強く押すだけで、簡単に果実がとれるようになるそうなので、やってみました。
写真左は果実を手で握り、親指を果梗の付け根付近に当てたところです。そのまま親指で強く果梗を押すと、プチッと簡単に果実が果梗から離れました。写真右はとれたあとの果梗です。剪定のときに果実がついていた目印になるので、しばらくこのまま果梗をつけたままにしておくことにします。
全部で31個、収穫できました。初収穫となります。大きさは様々ですが、一番大きいものでは長さ6.5cm、太さ4.5cmもあります。総重量は1.5kgでした。
このままではまだ固くて食べられないので、追熟させることにします。
ポリ袋の中にキウイを全部入れて、エチレンを発生するリンゴをキウイ10個に1個の割合でいれることにします。キウイは31個あるので、リンゴを3個入れて、20℃くらいの室内においておくことにしました。リンゴがなくても追熟はできるみたいですが、リンゴを入れれば、早く追熟するらしいです。
追熟した果実を食べる
2011年12月8日。追熟させてから8日ほどたちました。試しに袋から果実をとりだしてみると、柔らかくなっていました。切って食べてみると、甘みがあります。うまく追熟できたみたいです。リンゴを入れたおかげで追熟が早まり、8日間ほどで食べることができました。
初めての本格的な剪定
2011年12月31日。枝が込みあってごちゃごちゃしているので、剪定することにします。本格的な剪定はこれが初めてです。
まず、今年、実をつけなかった長い枝を基部から8~10芽残して切り返しました。写真左が剪定前、右が剪定後です。
次に今年、実をつけた枝は実のついた位置から3~5芽残して、先端を切り返しました。果梗を残しておいたので、どの枝が実のついた枝かが容易に区別できました。写真左が剪定前、右が剪定後です。このような剪定をすべての枝に行い、実がつきやすくなるようにしました。その他、込みあっている部分も間引きました。
冬のキウイ棚
2012年1月11日。雪が降るようになりました。
春のキウイ棚
2012年5月1日。春のようすです。葉が出てきたところです。
枝の誘引と捻枝
2012年5月22日。棚上が枝葉で覆われてきて、地面にはあまり日が届かなくなりました。
伸びた枝を誘引することにします。そのまま枝を誘引しようとして曲げると、枝の付け根からポキっと折れてしまうので、捻枝(ねんし)という方法で枝をひねって誘引することにします。
写真左が誘引前、右が誘引後です。上方向に伸びる枝を横方向に誘引しました。捻枝のやり方は、枝が折れないよう、誘引する枝の根元を握って固定して、そのすぐ上から思い切り、枝をひねります。プキュとかいう音がして、枝の皮がよじれて裂けますが、問題ありません。
通販で購入した花粉で人工授粉
2012年6月4日。開花しました(写真左)。受粉樹となるトムリは去年の剪定の仕方が悪く、またも開花しなかったので、急遽、通販で人工授粉用キウイの花粉を購入して(写真右)、綿棒に花粉をつけて授粉作業をしました。
去年より多めに摘果
2012年6月14日。うまく人工授粉できたみたいで、いっぱい果実がつきました。適正な数になるよう、摘果することにします。
摘果しました。去年はつけすぎたので、去年よりはるかに多い量を摘み取りました。
果実が大きくなる
2012年6月22日。果実の大きさが3cmほどになりました。
果実がさらに大きくなる
2012年7月20日。果実の大きさは6cmになりました。
少し早めに収穫
2012年11月3日。葉でいっぱいになっています。キウイの主枝の太さは3㎝になりました。今まで主枝を支えるために、支柱にくくりつけていましたが、支柱を外しました。
果実もたくさんついています。
去年よりかなり早いですが、収穫することにしました。全部で112個、6.8kgを収穫しました。去年は30個ほどだったので、4倍近い収穫量です。たったこれだけの面積の棚で100個以上のキウイがとれることに驚きました。果実は去年と同じように、袋にいれて室内で追熟させることにします。
キウイ棚の単管パイプにかぶせてあるキャップのようすを見てみようと外したら、いくつかはボロボロと崩れてしまいました。意外と劣化が早いみたいです。キャップは全部取り外すことにしました。
水平にしたパイプでは両端にキャップをしていても、中に水が溜まっていたので、最初から外しておいたほうが、乾きやすくていいのかもしれません。なお、台風の時でもキャップは飛ぶことはありませんでした。
追熟中のキウイ
2012年11月30日。収穫したキウイです。たくさんのリンゴをキウイと一緒の箱にいれてあります。100個ほどあるので、いやになるほど食べられます。
間引き剪定をして枝間をあける
2012年12月13日。剪定前です。枝がいっぱいなので、今年は間引き剪定を中心にて、枝間をあけることにします。
剪定後です。主に間引き剪定をしました。かなり枝がへってすっきりしたと思います。実をつけた枝は実のついた位置から3~5芽残して、先端を切り返し、実をつけなかった枝は基部から8~10芽残して切り返してあります。
摘蕾をして蕾の数を減らす
2013年5月24日。蕾がついたので、摘蕾をします。写真左が摘蕾前、右が摘蕾後です。一箇所に3個ついている蕾を1個に減らしました。
冷凍庫に保存しておいた花粉を使って人工授粉
2013年6月6日。開花しました(写真左)。でも、鉢植えにしている受粉樹の雄木には花が咲いていないので、受粉できません。そのため、去年の使い残りで、1年間、冷凍庫に入れて保存しておいたキウイの花粉を今年も使って、受粉させることにします(写真右)。
摘果後の果実は90個
2013年6月26日。結実した実の大きさは4~5cmになりました。摘果をすることにします。
左が摘果前、右が摘果後です。密集しているところの実をへらしました。現在、付いている実は90個ほどです。あとは収穫まですることはありません。
順調に大きくなる果実
2013年9月15日。実の大きさは7cm近くになっています。虫もつかないので、管理は非常に楽です。
全部で90個、6.9kgのキウイを収穫
2013年11月6日。全部で90個、6.9kgを収穫しました。ビニール袋に入れて、室内において追熟させることにします。
毎年、安定して収穫できるようになってきたので、これでキウイの栽培記録を終了します。
なお、鉢植えにしていた受粉樹のトムリは一度も花が咲くことなく、枯れてしまいました。夏場の水切れが原因ですが、鉢植えは管理が難しいと実感しました。