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ナシ(梨)の育て方・栽培方法です。関東地方を基準にした栽培の手順を紹介します。 |
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栽培難易度 | (難しい) |
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植え付け時期 | 12月(温暖地)、3月(寒冷地) |
収穫時期 | 8月~10月 |
ナシはこんな果樹
バラ科の落葉果樹。日本ナシの栽培適地は東北地方南部以南。西洋ナシ・中国ナシの栽培適地は東北地方以北(雨が少なく冷涼な気候を好む)。日本ナシ・中国ナシは実がなるまで3~4年、西洋ナシは実がなるまで5年かかる。受粉樹は必要(1本で実のなる品種もある)。花芽分化は6~7月頃(花芽は混合花芽)。
ナシには日本ナシ、西洋ナシ、中国ナシの3種がある。日本ナシは樹上で完熟するため、収穫後すぐに食べられるが、西洋ナシと中国ナシは収穫後の追熟処理が必要。
品種には、1本で実のなる『なるみ』、ねっとりとした食感の西洋ナシ『ラ・フランス』、日本一大きい巨大ナシで2kgほどにもなる『愛宕』などがある。
ナシの育て方(1) 植え付け
ナシの苗木の植え付け時期は12月(温暖地)と3月(寒冷地)。
苗木は高さ60~70cmで切り返して植える。
ナシはほとんどの品種が1本では結実しないので、結実させるには他品種を混植して受粉させる(交配しない組み合わせもあるので注意する)。西洋ナシと日本ナシの組み合わせでもよい。
生垣などに利用されるカイヅカイブキ(ビャクシン類)は、ナシの病気の一つである赤星病の病原菌を媒介するので、ビャクシン類の近くにはナシを植えないようにする。
ナシの育て方(2) 人工授粉
開花したら、確実に結実させるために人工授粉を行う。
ナシは1花そうに8~10花ほど咲くが、果実の肥大のよい、外側から3~4番目の花に別品種の花粉をつけて受粉させる。1花で5~6花に受粉できる。
ナシの育て方(3) 摘果
結実したら、摘果を2回に分けて行う。
最初の摘果は花の満開後20日頃までに行い、1果そうに1果を残して、ほかを摘み取る。2回目は満開後45日頃までに行い、3~4果そうに1果となるようにする。
摘果後、袋かけをすれば、病害虫の被害を防ぐことができる。
ナシの育て方(4) 収穫
ナシの収穫時期は8~10月。
日本ナシは樹上で完熟させてから収穫する。日本ナシは熟すと、果実を持ち上げたときに果梗がとれるようになり、収穫後、すぐに食べられる。
西洋ナシの収穫時期は、ラ・フランスで満開後165日前後、ル・レクチェで満開後170~175日が目安(いずれも山形県の場合)。
日本ナシは収穫後、すぐに食べられるが、西洋ナシは追熟が必要。
ナシの育て方(5) 肥料
肥料は毎年、12月に有機質肥料、3月と収穫後に速効性の化成肥料を施す。
ナシの育て方(6) 剪定
ナシの剪定時期は12月上旬から2月下旬。
花芽は新梢の葉腋や短果枝につく(6~7月頃)。
剪定では徒長枝や込み合った部分の枝などを間引き、日当たりをよくする。長く伸びた短果枝のついていない枝は先端の2~3芽を切り返すと、短果枝がつきやすくなる。上に伸びる枝は水平に誘引することで、短果枝がつきやすくなる。
仕立て方は変則主幹形、棚仕立て、エスパリエ仕立てなどが向く。
西洋ナシを追熟させる場合
西洋ナシは収穫後に一定期間(品種によって異なる)の追熟が必要。
追熟させる場合は、冷蔵庫に1週間入れて、その後、20℃くらいの室内に1~2週間置いておく。果実からよい香りがしてきたら、食べ頃となる。