54種類の果樹(果物)の栽培方法と果樹栽培に役立つ一覧表を掲載しています。
栽培する果樹を収穫時期から探したい場合は、栽培する果樹を収穫時期から選ぶを見てください。
落葉果樹を栽培する
アケビ
果樹名 | アケビ |
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種類 | 落葉果樹 |
科目 | アケビ科 |
栽培適地 | 東北地方以南 |
栽培特性 | 半日陰でも育つ |
結実まで | 3~4年 |
受粉樹 | 必要(1本で実のなる品種もある) |
花芽分化 | 7~8月頃(花芽は混合花芽) |
アケビの苗木の植え付け時期は12月上旬から3月下旬。
アケビは自家結実性がほとんどないので、結実させるには受粉樹(他品種)を混植する必要がある(アケビとミツバアケビ、ミツバアケビとゴヨウアケビなどの組み合わせ)。
開花したら、他品種の雄花の花粉で人工授粉をする。
小花がかたまって咲いているのが雄花で、その下に大きく咲いているのが雌花。肥料不足になると雌花がつかない場合がある。
実がたくさんついたときは、幼果のうちに、1花房1~2個となるように摘果を行う。形のよい実や大きい実を残し、他は摘み取る。
アケビは熟すと自然に果皮が割れるので、そのときに収穫をする。割れる直前に収穫してもよい。
アケビの剪定時期は12月上旬から1月下旬。
花芽は新梢の中間付近につく(7~8月頃)。
巻きづるは切り、貧弱な枝や込み合う部分の枝を間引き剪定する。つるは水平に誘引すると実がつきやすくなる。
仕立て方には棚仕立てや垣根仕立てなどが向く。
アケビはつる性なので、棚仕立てや垣根仕立てで栽培します。ミツバアケビの春に伸びる若いつる先(新芽)を摘み取ったものは、木の芽と呼ばれ、食用になります。アケビとよく似た常緑果樹のムベもアケビと同じ方法で栽培できます。
果皮が紫色で1本でも結実する”紫水晶”、果皮が黄色い”バナナアケビ”などがあります。
アンズ
果樹名 | アンズ |
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種類 | 落葉果樹 |
科目 | バラ科 |
栽培適地 | 北海道南部以南 |
結実まで | 3~4年 |
受粉樹 | 不要 |
花芽分化 | 7~8月頃(花芽は純正花芽) |
アンズの苗木の植え付け時期は12月上旬から2月下旬(温暖地)と3月(寒冷地)。
アンズは自家結実するが、受粉樹(他品種)を混植すれば、さらに実つきがよくなる。
受粉樹を植えた場合、開花したら、互いの花で人工授粉をすると、実つきがよくなる。
5月上・中旬頃になったら摘果を行う。葉数20~30枚に1果を目安に小果や傷果などを取り除く。1つの短果枝には1果とする。
アンズは果実が黄色く色づき、少しやわらかくなった頃に収穫をする。
アンズの剪定時期は12月上旬から2月下旬。
花芽は短果枝によくつく(7~8月頃)。
剪定では徒長枝や込み合った部分の枝を間引き、樹冠内部に日が当たるようにする。長果枝は先端を1/4程度、切り返して短果枝を発生させる。
仕立て方は変則主幹形などが向く。
ウメと同じ梅雨の時期に果実が成熟するのがアンズです。完熟果は生で食べることもできます。品種によって、酸味の多いものや少ないものがあるので、用途にあった品種を選びます。生食が目的なら、酸味の少ないものが適しています。
果重40gで生食用や加工用に向く代表的品種”平和”、果重120gにもなる大果品種で生食に向く”おひさまコット”などがあります。
イチジク
果樹名 | イチジク |
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種類 | 落葉果樹 |
科目 | クワ科 |
栽培適地 | 東北地方南部以南 |
栽培特性 | 過湿に弱い |
結実まで | 2~3年 |
受粉樹 | 不要 |
花芽分化 | 5月頃から始まる |
イチジクの苗木の植え付け時期は12月上旬から3月下旬(温暖地12~3月・寒冷地3月)。
単為結果するため、受粉樹は必要ない。
寒冷地では耐寒性の強い、蓬莱柿などの品種を選ぶと良い。
イチジクは果実の先端が割れて、やわらかくなったものから順に収穫をする。
果実は枝の基部のほうから先に熟していく。通常、着果後75~80日程度で成熟する。
果実の成熟を早める場合は、果皮が黄緑色になった頃に、果実の先端の穴(目)に植物油(サラダ油やオリーブオイルなど)を1~2滴注入すると、1週間ほど早く収穫することができる(オイリング)。
イチジクの剪定時期は12月上旬から2月下旬。
秋果専用種の場合、新梢を2~3芽残して切り返す。
夏果専用種は枝を切ると実がつかないので、込み合った部分の枝を間引く、間引き剪定を主体にする。
夏秋兼用種は全体の半分の枝は切らずにそのまま残し、もう半分は新梢を2~3芽残して切り返す。
枝を切るときは、節と節の中間で切るようにする。
仕立て方には、樹高を低く抑える一文字仕立てや杯状仕立てなどが向く。
イチジクの結果習性は一般的な落葉果樹とは異なる。
花芽分化(花序分化)は5月頃から始まり、花芽はその年に伸長するすべての新梢の葉腋(基部1~3節を除く)につく。
秋果は新梢についた花芽が成長して果実となり、その年の8月以降に熟期を迎える。
夏果は新梢の先端部についた花芽が越冬後、成長して果実となり、6~7月に熟期を迎える。
イチジクには夏果専用種、秋果専用種、夏秋兼用種があります。夏果専用種は果実が6~7月の梅雨時期に熟し、秋果専用種は果実が8月以降に熟します。夏秋兼用種は果実が両方の時期に熟します。花は果実の内側に咲きます。
イチジクの代表的品種”桝井ドーフィン”、耐寒性が強い”蓬莱柿”、果実に縞模様が入る”ゼブラスイート”、糖度20~30度の極甘品種”ロードス”などがあります。
イチョウ
果樹名 | イチョウ |
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種類 | 落葉果樹 |
科目 | イチョウ科 |
栽培適地 | 全国 |
結実まで | 5年 |
受粉樹 | 必要 |
花芽分化 | 6~7月頃 |
イチョウの苗木の植え付け時期は11月下旬から2月下旬(温暖地)と3月(寒冷地)。
イチョウは雌雄異株で、結実には受粉樹となる雄木が必要だが、イチョウの花粉は1kmほど飛散するので、その範囲内にイチョウの雄木があれば(街路樹でもよい)、雄木を植えなくても結実する。範囲内に雄木がない場合や確実に結実させる場合は雄木を植える。
イチョウは大木になるので、植え付け場所はよく考えて決める。実生の苗木では結実するまでに数十年もかかるので、必ず接木苗を購入する。
イチョウの果実は成熟すると自然に落下するので、落ちたものを収穫する。熟期になったら、枝を揺すって落としても構わない。
収穫した果実は、数日、水につけて、果肉を腐らせてから洗浄し、乾燥させる。
果肉は皮膚につくと、かぶれる場合があるので、ビニール手袋をつけて手を保護するとよい。
イチョウの剪定時期は1月上旬から2月下旬。
花芽は短果枝につく(6~7月頃)。
剪定は込み合う部分の枝を間引いて、日当たりを良くする程度でよい。幼木のころに上に伸びる枝を誘引して引き下げてやると、早く実がつくようになる。
仕立て方は主幹形や変則主幹形、開心自然形などが向く。
早生で豊産性の”金兵衛”、殻が薄く大粒の”藤九郎”などがあります。
ウメ
果樹名 | ウメ |
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種類 | 落葉果樹 |
科目 | バラ科 |
栽培適地 | 北海道から九州地方 |
結実まで | 3~4年 |
受粉樹 | 品種による |
花芽分化 | 7~8月頃(花芽は純正花芽) |
ウメの苗木の植え付け時期は12月(温暖地)と3月(寒冷地)。
ウメには自家結実性のある品種とない品種がある。自家結実性のない品種では受粉樹(他品種)の混植が必要。受粉樹には開花期が同じで、花粉の多い品種を選ぶ。
寒冷地では開花が早いと幼果が寒害をうけやすいので、豊後系などの遅咲きの品種を選ぶとよい。
開花したら、自家結実性のない品種や花粉の少ない品種では人工授粉を行う。
花粉の多い品種の花を摘みとって、もう一方の品種の花の雌しべに花粉をつける。
実がつきすぎた場合は、4月下旬頃に摘果を行う。
5~10cm間隔に1果を残し、小果や傷果などを取り除く。小梅の場合、通常、摘果は必要ない。
果実を梅酒用にする場合は、果実がまだ青いうちに収穫をする。
梅干用にする場合は、果実が黄色く色づいた頃に収穫をする。
夏季剪定は6月上旬から7月下旬、冬季剪定は12月上旬から1月下旬に行う。
花芽は短果枝によくつく(7~8月頃)。
ウメは枝がよく伸びるので、夏季剪定では、徒長枝や樹冠内部の込み合った部分の枝を間引いて、日当たりをよくする。冬季剪定では、込み合った部分の枝を間引くほかに、長果枝の先端1/4程度を切り返す。先端を切り返すことで、短果枝が発生しやすくなる。
仕立て方は開心自然形などが向く。
ウメはサクラより早く開花し、梅雨の時期に成熟します。梅干に適する品種や梅酒に適する品種などがあるので、用途にあった品種を選びます。
1本でも結実する小梅の”竜峡小梅”、梅干向きで1本でも結実する”紅さし”、梅酒用の”露茜”、淡紅色の八重咲きで花も楽しめる”花香実”などがあります。
カキ
果樹名 | カキ |
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種類 | 落葉果樹 |
科目 | カキノキ科 |
栽培適地 | 渋柿は東北地方以南。甘柿は関東地方以西(甘柿は気温が高い地域でないと渋が抜けない) |
結実まで | 4~5年 |
受粉樹 | 品種による |
花芽分化 | 7~8月頃(花芽は混合花芽) |
カキの苗木の植え付け時期は11月中旬から12月下旬(温暖地)と3月(寒冷地)。
カキには雄花をつけない品種がある。雄花をつけない品種を栽培する場合は、雄花をつける品種を受粉樹として植える必要がある。ただし、単為結果性の強い一部の品種(次郎、平核無、愛宕など)では、受粉樹は必要ない。
開花の10日ほど前になったら摘蕾を行う。
蕾が1枝1個になるように、枝の中央部にある下向きの蕾を残し、それ以外の小さな蕾や上向きの蕾を摘み取る。雄花は受粉に必要なので摘み取らないようにする。
カキの花には雌花、雄花、両性花がある。着果を確実にする場合は、開花後3日以内に雄花の花粉を雌花につける人工授粉を行う。雌花は大きい花が単体で咲き、雄花は小さい花が3つ1組(3つ以外のときもある)になって咲く。
生理落果が終わる7月になったら、葉20~25枚に対して1果となるように摘果を行う。変形果や病害虫果を果梗から切り取る。
カキの収穫は果実がオレンジ色に色づいた頃に行う。
渋柿の渋抜きをするには、焼酎など35度以上のアルコール(エタノールでも可)にヘタの部分を浸したあと、ポリ袋にカキを入れて空気を抜いて密封し、20℃前後の室内に置いておくと1週間程度で渋が抜ける。
40~42℃のお湯に半日~1日浸けておいても渋は抜ける(湯ぬき)。
カキの剪定時期は1月上旬から2月下旬。
花芽は新梢の先端付近につく(7~8月頃)。
剪定では間引き剪定を主体にする。徒長枝や込み合った部分の枝を間引き、樹冠内部までよく日が当たるようにする。前年、実がついた枝には実がつきにくいので、前年、実がついた枝は先端を切り返し、新梢を発生させる。花芽のついた枝先は切り返さないよう注意する。
仕立て方は開心自然形、変則主幹形などが向く。
カキには甘柿と渋柿があります。甘柿には受粉して種が多く入るほど甘くなる不完全甘柿と、常に甘くなる完全甘柿があります。渋柿には種が入ってもごく一部しか甘くならない不完全渋柿と、常に渋い完全渋柿があります。甘柿はそのまま生食できますが、渋柿は渋抜きが必要です。
果汁が多く食味良好の渋柿”太月”、完全甘柿で雄花がある”太秋”、不完全甘柿で外見が黒い”黒柿”などがあります。
カリン
果樹名 | カリン |
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種類 | 落葉果樹 |
科目 | バラ科 |
栽培適地 | 関東地方以北(雨が少なく夏に冷涼な地域) |
結実まで | 4~5年 |
受粉樹 | 不要 |
花芽分化 | 7~8月頃(花芽は混合花芽) |
カリンの苗木の植え付け時期は12月上旬から3月下旬。
カリンは自家結実性があり、1本でも結実する。受粉樹は不要。
カリンは1本でも結実するが、開花したら筆先で花の雄しべの花粉を雌しべにつけて人工授粉してやると、さらに安定して結実する。
5月下旬から6月上旬頃に摘果を行う。
カリンは着果数が少ないので、小果や変形果、病害虫果などを摘み取る程度でよい。
カリンの収穫は果実が緑色から黄色になって、特有の芳香がするようになった頃に行う。
カリンの剪定時期は12月上旬から2月下旬。
花芽は短果枝によくつく(7~8月頃)。
剪定では込み合った部分の枝を間引く、間引き剪定を主体にして、樹冠内部までよく日が当たるようにする。長果枝は先端を切り返して短果枝の発生を促す。徒長枝は間引く。
仕立て方は変則主幹形などが向く。
キウイ
果樹名 | キウイ |
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種類 | 落葉果樹 |
科目 | マタタビ科 |
栽培適地 | 東北地方南部以南 |
結実まで | 3~4年 |
受粉樹 | 必要(1本で実のなる品種もある) |
花芽分化 | 7月頃(花芽は混合花芽) |
キウイの苗木の植え付け時期は11月中旬から12月中旬(温暖地)と3月(寒冷地)。
キウイは雌雄異株で、結実させるには、実をつける雌木と受粉用の雄木の2本を一緒に植える必要がある。場所がないときは、雄木だけ鉢植えにしてもよい。受粉用の花粉も市販されている。
蕾がつき始めたら摘蕾をする。
1節に複数の蕾がついているときは、中心の蕾を残して他は摘みとり、1節につき1蕾にする。
開花したら人工授粉をすれば、より確実に受粉できる。
雄木の雄花を雌木の雌花につけて受粉させる。雄花1つで10花ほど受粉できる。
開花1ヶ月以内に摘果を行い、小果や傷果などを取り除く。
最終的に80cm前後の枝で3~4果、50cm前後の枝で2果、30cm以下の枝で1果を残す。
キウイは追熟させてから食べる果物なので、果実がかたい状態で収穫をする。
収穫するときは、果実を手で握り、親指で果梗を押すと、簡単に果実が離れる。
収穫した果実は、15~20℃の室温に置いておけば2週間程度(品種によって若干異なる)で熟して食べられるようになる。
エチレンを発生するリンゴ1個に対し、キウイ10個の割合で、一緒にビニール袋に入れておけば、さらに早く熟す(袋の口はかるく縛る)。
果実がやわらかくなったら、食べ頃となる。
キウイの剪定時期は12月下旬から2月上旬。
花芽は新梢の葉腋につく(7月頃)。前年に実がついた節からは発芽しない。
剪定では込み合った部分の枝を間引いて、全体によく日が当たるようにする。
実がついた枝(収穫のときの果梗が残っているので分かる)は、実がついた節から数えて3~5芽先で切り返し、実がつかなかった枝は基部から数えて8~10芽先で切り返す。
仕立て方には棚仕立てや垣根仕立てなどが向く。
果肉の中心が赤色の”紅妃”、果肉が黄色の”アップルキウイ”、1本でなる”スーパーエメラルド”などがあります。
グミ
果樹名 | グミ |
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種類 | 落葉果樹(または常緑果樹) |
科目 | グミ科 |
栽培適地 | 落葉種は全国。常緑種は関東地方以西 |
結実まで | 3~4年 |
受粉樹 | 品種による |
花芽分化 | 7~8月頃(花芽は混合花芽) |
落葉種は12月上旬から3月下旬、常緑種は3月が苗木の植え付け時期。
グミは自家受粉でよく結実するため、受粉樹は不要。ただし、ビックリグミ(別名ダイオウグミ)はそのままでは実つきが悪いので、開花時期の同じ他品種を混植するか、花の満開時とその2週間後の2回、ジベレリンの100ppm水溶液を木に散布すると、実つきがよくなる。
グミは果実が赤く色づき、やわらかくなったものから順次収穫をする。完熟していないと渋みがある。
果実は日持ちしないので、収穫後はすぐに食べるか、ジャムや果実酒などに加工して利用する。
グミの剪定時期は12月上旬から2月下旬。
花芽は短果枝によくつく(7~8月頃)。
剪定では徒長枝や込み合った部分の枝を間引いて、樹冠内部の日当たりをよくする。長く伸びた新梢は、先端を1/3程度切り返すと短果枝が出て、よく実をつける。
仕立て方には主幹形仕立てや株仕立てなどが向く。
グミには落葉種と常緑種があります。一般に落葉種は春に開花し、常緑種は秋に開花します。
落葉種の”ナツグミ”、ジベレリン処理するとよく実がつく落葉種の”ビックリグミ”、暖地向きの常緑種”ナワシログミ”などがあります。
クリ
果樹名 | クリ |
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種類 | 落葉果樹 |
科目 | ブナ科 |
栽培適地 | 全国 |
結実まで | 3~4年 |
受粉樹 | 必要 |
花芽分化 | クリは雄花と雌花で花芽分化の時期が異なる。雄花は前年の7~8月頃、雌花は当年の4月頃。花芽は混合花芽 |
クリの苗木の植え付け時期は12月上旬から3月下旬。
自家受粉では結実しにくいので、結実させるには受粉樹(他品種)の混植が必要。
クリは大木になるので、植え付け場所はよく考えて決める。クリは果樹のなかでも耐陰性が弱く、日陰では花芽がつきにくくなるので、日当たりの良い場所を選んで植えることが重要。
クリは雌雄異花で、雄花と雌花が分かれてつく。穂状に咲くのが雄花で、その雄花の基部に咲くのが雌花(実がつくのは雌花)。
受粉樹が近くに植えてあれば、風媒で受粉するので(花粉の届く範囲は10~20m)、人工授粉する必要はない。
果実は成熟すると、イガが茶褐色になり、裂けて落下するので、落ちたものを拾って収穫をする。
クリの剪定時期は1月上旬から2月下旬。
クリは前年枝の先端付近についた花芽から、雄花と雌花がつく新梢が伸びる(前年枝の中間部にも花芽はつくが、こちらは雄花のみ)。
日当たりが悪いと花芽がつかないので、込み合った部分の枝を間引いて、樹冠内部に日が当たるようにする。クリは間引き剪定を中心にする。
仕立て方は変則主幹形や開心自然形仕立てなどが向く。
品種を選ぶときは、クリタマバチ(新芽に産卵して虫こぶをつくる害虫)に抵抗性のある品種を選ぶようにします。
渋皮が簡単に剥ける”ぽろたん”、トゲのない”とげなし栗”、他の栗と比べて2倍の大きさの”ジャンボ神鍋”などがあります。
クルミ
果樹名 | クルミ |
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種類 | 落葉果樹 |
科目 | クルミ科 |
栽培適地 | 東北地方以南(雨が少なく夏が涼しい地域。暖地では樹勢が強くなりすぎて、花芽がつきにくい) |
結実まで | 5年 |
受粉樹 | あるとよい(実つきがよくなる) |
花芽分化 | 6月頃(花芽は混合花芽) |
クルミの苗木の植え付け時期は12月上旬から3月下旬。
クルミは雌雄異花で、同じ株の中で、雄花と雌花が分かれて咲く(実がつくのは雌花)。クルミは自家受粉するが、品種によって、雌花が先に咲く雌花先熟型と雄花が先に咲く雄花先熟型があり、雌花と雄花の開花時期が異なる。単植では結実不良になる場合があるので、結実を安定させるために、他品種(受粉樹)を混植するとよい。
クルミは大木になるので、植え付け場所はよく考えて決める。
果実は熟すと、外果皮が裂開して自然に落ちるので、拾い集めて収穫する。枝をゆすったり、棒などで叩いて落果させてもよい。
収穫した果実は外果皮を取り除き、洗浄、乾燥させたのち、殻を割って利用する。オニグルミは外果皮が裂開せずに落果する。
クルミの剪定時期は12月上旬から2月下旬。
花芽は新梢の先端付近につく(6月頃)。
幼木のころは、樹冠内部まで日が当たるように、込み合う部分の枝を間引き、新梢は先端1/3程度を切り返す。実がつくころになったら、切り返し剪定はなるべく控えて、込み合う部分の枝を間引く、間引き剪定を主体にする。
仕立て方は変則主幹形仕立てが向く。
殻が薄く食べやすい”カシクルミ”、殻は硬いが濃厚な風味の”オニグルミ”などがあります。
クワ
果樹名 | クワ |
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種類 | 落葉果樹 |
科目 | クワ科 |
栽培適地 | 全国 |
結実まで | 3~4年 |
受粉樹 | 品種による |
花芽分化 | 7~8月頃(花芽は混合花芽) |
クワの苗木の植え付け時期は12月と3月。
クワには雌雄異株と雌雄同株があり、品種によっては、1本でも結実するものもあるが、基本的に雄花をつける他品種の混植が必要。
クワは大木になるので、植え付け場所はよく考えて決める。
果実を生食用にする場合は、幼果のうちに1結果枝あたり2~4果となるように摘果すると、食味の向上に効果がある。加工用に利用する場合は、摘果は必要ない。
クワの収穫は果実が黒紫色になって熟した頃に行う(品種によって色は異なる)。収穫が早すぎると酸味が強く残る。
果実は日もちしないので、収穫後はすぐに生食するか、加工して利用する。
クワの剪定時期は収穫直後と1月上旬から2月下旬。
花芽は新梢の葉腋につく(7~8月頃)。
収穫直後の剪定では、結果母枝を2芽残して切り返す。冬の剪定では、込み合う部分の枝を間引き、樹冠内部までよく日が当たるようにする。
仕立て方は一文字仕立てや垣根仕立てなどが向く。
クワはカイコの飼料としてよく知られている落葉高木で、別名マルベリーともいいます。家庭果樹として栽培する場合は、実つきがよく大果の果実採取用の品種を選びます。
1本でも結実する”ララベリー”や”ポップベリー”、糖度がきわめて高い白実の”ホワイトベリー”などがあります。
サクランボ
果樹名 | サクランボ |
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種類 | 落葉果樹 |
科目 | バラ科 |
栽培適地 | 東北地方以北(成熟期に雨が少なく涼しい地域) |
結実まで | 4~5年 |
受粉樹 | 品種による |
花芽分化 | 7~8月頃(花芽は純正花芽) |
サクランボの苗木の植え付け時期は12月(温暖地)と3月(寒冷地)。
サクランボには1本でも結実する品種と1本では結実しない品種がある(品種の多くは1本では結実しない)。1本では結実しない品種の場合、他品種を混植して受粉させる必要がある。サクランボは品種間の受粉の相性が悪いと結実しないので、結実する組み合わせで栽培をする(例:佐藤錦と南陽の組み合わせでは結実しないが、佐藤錦とナポレオンの組み合わせでは結実する、など)。
開花したら、1本では結実しない品種の場合、5分咲きと満開のときの2回、他品種の雄しべの花粉を筆先につけて、受粉させる花の雌しべにつける人工授粉を行う。
満開後20日ほどたち、幼果が見えてきた頃、1箇所に2~3果となるように、小果や奇形果などを摘み取る(摘果)。
摘果することで果実の肥大もよくなる。
果実は開花後40~50日程度で色づいて成熟期を迎えるので、十分色づいたものから順に収穫を行う。
サクランボは果実の成熟期が梅雨時期と重なる。果実の成熟期に雨が多いと、果実に水分が吸収されて裂果しやすくなるので、梅雨時期は樹全体、あるいは枝をビニールなどで覆って雨よけをするとよい。
収穫期になると鳥に食べられやすいので、被害が目立つときは防鳥ネットをかけて防止する。
サクランボの剪定時期は1月上旬から2月下旬。
花芽は短果枝によくつく(7~8月頃)。
剪定では込み合った部分の枝を間引き、前年伸びた枝は先端1/4程度を切り返し、短果枝を発生させる。2~3年実をつけた短果枝は以後の結実が悪くなるので、基部から切り取り更新する。
サクランボは太い枝を切ると、切り口から枯れることがあるので、早くから樹形をつくるようにする。
仕立て方は変則主幹形、開心自然形、垣根仕立てなどが向く。
一般に樹上の果実、または樹自体をオウトウ(桜桃)といい、収穫後の果実をサクランボといいます。
甘みが強く1本でも結実する”紅きらり”、果実が黄色い”月山錦”、500円玉サイズの特大果で1本でなる”さおり”などがあります。
ザクロ
果樹名 | ザクロ |
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種類 | 落葉果樹 |
科目 | ミソハギ科 |
栽培適地 | 北海道南部以南 |
結実まで | 5年 |
受粉樹 | 不要 |
花芽分化 | 7~8月頃(花芽は混合花芽) |
ザクロの苗木の植え付け時期は12月上旬から3月下旬。
自家結実性があるので、受粉樹は不要。
1本でも結実するが、開花時に筆先で花の中をさわって人工授粉してやれば、実つきがよくなる。
1箇所に2果以上、実をつけた場合は摘果を行う。1箇所に1果を目安にして、他は取り除く。
ザクロの収穫は果実が赤茶色に色づき、頂部がわずかに裂けた頃に行う(裂けない品種もある)。
裂けた果実は雨で腐敗しやすいので、とり遅れないよう注意する。
ザクロの剪定時期は12月上旬から2月下旬。
花芽は新梢の先端付近につく(7~8月頃)。
剪定では徒長枝や込み合った部分の枝を間引き、樹冠内部までよく日が当たるようにする。株元からは、ひこばえがよく出るので、出たら早めに株元から切りとる。
花芽は枝先付近につくので、切り返し剪定はなるべく控える。
仕立て方は主幹形や変則主幹形などが向く。
果実が裂開しない”カリフォルニア”、果肉が黒色の”ペルシャブラック”、種なしの”シャインレッド”、白実の”白実ザクロ”などがあります。
サルナシ
果樹名 | サルナシ |
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種類 | 落葉果樹 |
科目 | マタタビ科 |
栽培適地 | 全国 |
栽培特性 | 半日陰でも育つ |
結実まで | 2~3年 |
受粉樹 | 品種による |
花芽分化 | 7~8月頃(花芽は混合花芽) |
サルナシの苗木の植え付け時期は12月上旬から2月下旬(温暖地)と3月(寒冷地)。
サルナシには雌雄異株と雌雄混株の品種がある。雌雄異株の品種は、結実のために雄株も植える必要があるが、雌雄混株の品種は1本でも結実するため、雄株を植える必要はない。雄株のかわりにキウイの雄品種も利用できる。
雌雄異株の品種の場合は、雄花を雌花につけて人工授粉させると、より確実に受粉できる。
果実を大きくさせたい場合は摘果を行う。複数の果実がついた節は、中心の1果だけを残す(ほかは摘みとる)。
サルナシの収穫は果実がやわらかくなった頃に行う。収穫した果実は追熟が必要。
収穫後、20℃くらいの室内に果実を置いておけば、数日程度で熟して食べられるようになる。
サルナシの剪定時期は12月上旬から2月下旬。
花芽は新梢の葉腋につく(7~8月頃)。
剪定では込み合った部分の枝を間引き、全体によく日が当たるようにする。枝は下垂させると実がつきやすくなる。
仕立て方には棚仕立て、垣根仕立てなどが向く。
サルナシ(別名コクワともいう)はキウイの仲間ですが、果皮に毛はなく、果実をそのまま食べることができるのが特徴です。果実は長さ2~3cmほどで味はキウイに似ています。ベビーキウイという名前で果実が販売されていることもあります。つる性なので、棚仕立てや垣根仕立てで栽培します。
1本で実がなる”インパル”、”エメロード”、赤色の実が特徴のベビーキウイ”パープルシャドー”などがあります。
ジューンベリー
果樹名 | ジューンベリー |
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種類 | 落葉果樹 |
科目 | バラ科 |
栽培適地 | 東北地方以南 |
栽培特性 | 半日陰でも育つ |
結実まで | 3~4年 |
受粉樹 | 不要 |
花芽分化 | 7~8月頃(花芽は混合花芽) |
ジューンベリーの苗木の植え付け時期は12月上旬から3月下旬。
自家結実性があり、1本でも結実するため、受粉樹は不要。
1本でも結実するが、開花時に筆先で花の中をさわって人工授粉してやれば、実つきがよくなる。
ジューンベリーは果実が濃紅色になり、やわらかくなったものから収穫をする。収穫後はすぐに食べるか、加工して利用する。
ジューンベリーの剪定時期は1月上旬から2月下旬。
花芽は新梢の先端付近につく(7~8月頃)。
ジューンベリーは株立ち性で、株元からはいくつもの枝(シュート)が発生する。仕立て方には変則主幹形仕立てや株仕立てがあるが、変則主幹形仕立ての場合は、株元から発生するシュートは全て切り取り、主幹1本だけにする。株仕立ての場合はシュート数本を残す。
剪定では込み合った部分の枝を間引いて、風通しや日当たりをよくする。2~3年実をつけた枝は実つきが悪くなるので、付け根から切り取り、新しい枝に更新する。
6月(June)に果実が成熟することからジューンベリー(Juneberry)といいます。果実は直径1.5cmほどで、リンゴに似た香りがあります。
花つきが良い”ラマルキー”、大果の”ティッセン”、樹高が低い”リージェント”などがあります。
スグリ・フサスグリ
果樹名 | スグリ・フサスグリ |
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種類 | 落葉果樹 |
科目 | スグリ科 |
栽培適地 | 東北地方以北(夏に冷涼な気候を好む。暖地で栽培する場合は、西日のあたらない半日陰となる場所に植える) |
栽培特性 | 半日陰でも育つ |
結実まで | 3~4年 |
受粉樹 | 不要 |
花芽分化 | 7~8月頃(スグリの花芽は混合花芽、フサスグリの花芽は純正花芽) |
スグリ、フサスグリの苗木の植え付け時期は11月(温暖地)と3月(寒冷地)。
自家結実性があり、1本でも結実するので、受粉樹は必要ない。
スグリは果実がやわらかくなって、色づいたもの(品種により、緑白色や赤紫色などがある)から順に収穫する。
アカフサスグリは房全体が色づいたら、房ごと切り取って収穫する。
クロフサスグリは色づいた果実から順に収穫する。
果実は傷みやすいので、収穫後はすぐに生食するか、加工して利用する。
スグリ、フサスグリの剪定時期は1月上旬から2月下旬。
花芽は新梢の葉腋につく(7~8月頃)。
剪定では込み合う部分の枝を間引いて、日当たりと風通しをよくする。3~4年収穫したシュート(株元から出る枝)は、花芽がつかなくなってくるので、株元から切り取り、新しいシュートに更新する。
仕立て方は株仕立てなどが向く。
スグリ(グーズベリーともいう)は樹高1~1.5mくらいの低木です。スグリには果実が大きいオオスグリと果実が小さいアメリカスグリがあります。果実を生食する場合は、オオスグリのほうが向いていますが、アメリカスグリより、うどんこ病に弱いという欠点があります。
フサスグリ(カーラントともいう)は樹高1~1.5m程度の低木で、果実は房状につくのが特徴です。フサスグリには、赤い実をつけるアカフサスグリ(レッドカーラント)、黒い実をつけるクロフサスグリ(ブラックカーラント)などがあります。クロフサスグリはカシスともいいます。
熟すと赤紫色になるスグリ”ピクスウェル”、赤実の”レッドカーラント”、一般種と比べて2倍近い大実のジャンボカシス”チタニア”などがあります。
スモモ・プルーン
果樹名 | スモモ・プルーン |
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種類 | 落葉果樹 |
科目 | バラ科 |
栽培適地 | 全国 |
結実まで | 3~4年 |
受粉樹 | 品種による |
花芽分化 | 7~8月頃(花芽は純正花芽) |
スモモ、プルーンの苗木の植え付け時期は12月上旬から3月下旬。
自家結実性のない品種では、他品種を受粉樹として一緒に植える。なお、自家結実性のある品種でも、他品種を混植したほうが、結実率は高くなる。
自家結実性のない品種では、開花したら、花粉を筆先などにつけて、異なる品種の雌しべにすりつける人工授粉を行う。
摘果は2回に分けて行う。
最初の摘果は、満開後30日頃に行い、上向きのものや発育不良果、病害虫果などを取り除く。
2回目の摘果は満開後50~60日頃に行い、最終的に小果の品種は5cm間隔に1果、中果の品種は8cm間隔に1果、大果の品種(サンタローザなど)は10~15cm間隔に1果を残す。
スモモ、プルーンは果実が色づいて、やわらかくなるまで完熟させてから収穫する。収穫が早すぎると酸味が残る。
スモモ、プルーンの剪定時期は12月上旬から2月下旬。
花芽は短果枝によくつく(7~8月頃)。
剪定では込み合った部分の枝を間引き、樹冠内部までよく日が当たるようにする。長く伸びた枝は先端1/3くらいを切り返し、短果枝を多く発生させるようにする。
仕立て方はスモモの場合、開心自然形や棚仕立て(開張しやすい品種が適している)が向く。プルーンの場合は主幹形や変則主幹形が向く。
スモモは別名、ニホンスモモとも呼ばれます。プルーンは別名、セイヨウスモモとも呼ばれます。プルーンは一般にスモモより開花時期が遅く、1週間から10日程度遅れて開花します。
1本でも結実する”彩の姫”、果実がテニスボールほどの”貴陽”、サクランボと西洋スモモの交配種”バイオチェリー”、大果で糖度が高い”パープルアイ”などがあります。
ナシ
果樹名 | ナシ |
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種類 | 落葉果樹 |
科目 | バラ科 |
栽培適地 | 日本ナシは東北地方南部以南。西洋ナシ・中国ナシは東北地方以北(雨が少なく冷涼な気候を好む) |
結実まで | 日本ナシ・中国ナシは3~4年。西洋ナシは5年 |
受粉樹 | 必要(1本で実のなる品種もある) |
花芽分化 | 6~7月頃(花芽は混合花芽) |
ナシの苗木の植え付け時期は12月(温暖地)と3月(寒冷地)。
ナシはほとんどの品種が1本では結実しないので、結実させるには他品種を混植して受粉させる(交配しない組み合わせもあるので注意する)。西洋ナシと日本ナシの組み合わせでもよい。
生垣などに利用されるカイヅカイブキ(ビャクシン類)は、ナシの病気の一つである赤星病の病原菌を媒介するので、ビャクシン類の近くにはナシを植えないようにする。
開花したら、確実に結実させるために人工授粉を行う。
ナシは1花そうに8~10花ほど咲くが、果実の肥大のよい、外側から3~4番目の花の雌しべに別品種の花粉をつけて受粉させる。1花で5~6花に受粉できる。
摘果は2回に分けて行う。
最初の摘果は花の満開後20日頃までに行い、1果そうに1果を残して、ほかを摘み取る。2回目は満開後45日頃までに行い、3~4果そうに1果となるようにする。
日本ナシは樹上で完熟させてから収穫する。日本ナシは熟すと、果実を持ち上げたときに果梗がとれるようになり、収穫後、すぐに食べられる。
西洋ナシの収穫時期は、ラ・フランスで満開後165日前後、ル・レクチェで満開後170~175日が目安(いずれも山形県の場合)。
西洋ナシは収穫後に一定期間(品種によって異なる)の追熟が必要。
追熟させる場合は、冷蔵庫に1週間入れて、その後、20℃くらいの室内に1~2週間置いておく。果実からよい香りがしてきたら、食べ頃となる。
ナシの剪定時期は12月上旬から2月下旬。
花芽は新梢の葉腋や短果枝によくつく(6~7月頃)。
剪定では徒長枝や込み合った部分の枝などを間引き、日当たりをよくする。長く伸びた短果枝のついていない枝は先端の2~3芽を切り返すと、短果枝がつきやすくなる。上に伸びる枝は水平に誘引することで、短果枝がつきやすくなる。
仕立て方は変則主幹形、棚仕立て、エスパリエ仕立てなどが向く。
ナシには日本ナシ、西洋ナシ、中国ナシの3種があります。日本ナシは樹上で完熟するため、収穫後すぐに食べられますが、西洋ナシと中国ナシは収穫後の追熟処理が必要です。
1本で実のなる”なるみ”、ねっとりとした食感の西洋ナシ”ラ・フランス”、日本一大きい巨大ナシで2kgほどにもなる”愛宕”などがあります。
ナツメ
果樹名 | ナツメ |
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種類 | 落葉果樹 |
科目 | クロウメモドキ科 |
栽培適地 | 全国 |
結実まで | 3~4年 |
受粉樹 | 不要 |
花芽分化 | 5~6月頃(花芽は混合花芽) |
ナツメの苗木の植え付け時期は12月(温暖地)と3月(寒冷地)。
自家結実性があり、1本でも結実するので、受粉樹は不要。
ナツメは1本でも結実するが、開花期と梅雨時期が重なるため、実つきがよくない場合がある。実つきをよくするには、開花時に花の中を筆先でさわって人工授粉するとよい。
たくさんの果実がついた場合は、隔年結果を防ぐために摘果を行う。
摘果は7月下旬頃に行い、新梢1本につき3~4果となるように、形のよい果実を残して他は摘み取る。
ナツメは果実が茶褐色に色づき、少し柔らかくなったものから収穫する。手袋をして枝をしごくようにすると収穫しやすい。
ナツメの剪定時期は12月上旬から2月下旬。
花芽は新梢の先端付近につく(5~6月頃)。
剪定では枯れた枝や込み合った部分の枝を間引き、樹冠内部の日当たりを良くする。株元から発生するひこばえは元から切り取る。花芽のついた枝先は切り返さないよう注意する。
仕立て方は主幹形仕立てなどが向く。
ナツメの果実はリンゴに似た食味です。果実を乾燥させたものは大棗(たいそう)と呼ばれ、漢方薬になります。
最大果重50gほどにもなる”皇帝”、最大果重110gで卵よりも大きい”新疆棗王”などがあります。
ハスカップ
果樹名 | ハスカップ |
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種類 | 落葉果樹 |
科目 | スイカズラ科 |
栽培適地 | 東北地方以北(冷涼な気候を好む) |
結実まで | 2~3年 |
受粉樹 | 必要 |
花芽分化 | 6~7月頃(花芽は混合花芽) |
ハスカップの苗木の植え付け時期は12月(温暖地)と3月(寒冷地)。
ハスカップは基本的に自家結実性が低いので、受粉樹となる他品種の混植が必要。
弱酸性の土壌を好むので、土にピートモスを混ぜて植え付ける。
開花したら花を摘みとって、もう一方の品種の花に花粉をすりつける人工授粉をしてやると、安定して結実する。
ハスカップは果実が濃い藍色になり、やわらかくなったものから順次収穫を行う(果実は熟期にバラつきがある)。過熟すると落果しやすくなる。
果実は傷みやすいので、収穫後はすぐに生食するか、加工して利用する。
ハスカップの剪定時期は12月上旬から2月下旬。
花芽は新梢の先端付近につく(6~7月頃)。
剪定では込み合った部分の枝を間引き、樹冠内部までよく日が当たるようにする。4~5年経過した古いシュート(株元から出る枝)は株元から間引いて、新しいシュートに更新する。
仕立て方は株仕立てなどが向く。
ブドウ
果樹名 | ブドウ |
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種類 | 落葉果樹 |
科目 | ブドウ科 |
栽培適地 | 全国 |
結実まで | 2~3年 |
受粉樹 | 不要 |
花芽分化 | 6~7月頃(花芽は混合花芽) |
ブドウの苗木の植え付け時期は11月中旬から12月下旬(温暖地)と3月(寒冷地)。
1本でも結実するので、受粉樹は必要ない。
ブドウは花蕾が多いと、養分が分散されて結実不良になりやすいので、それを回避するため、花穂の一部を切り取る、房づくりを行う。房づくりは開花しかけた頃に行う。
巨峰、および巨峰系統の大粒品種の場合は、分かれ出た副穂を切除し、さらに主穂上部の支梗数段と下部を少し切除し、花穂の長さが7~8cm(15~16段)となるようにする。
そのほかの品種では8~10cm、デラウェアの場合は、副穂だけを切除する。
花の咲き終わりから2週間程度たち、果粒がダイズ大になったら摘房を行う。
1結果枝に1果房を目安に残し、ほかの果房は摘み取る。デラウェアのような小房の品種は1結果枝に2果房を目安にする。
摘房後、そのままでは果粒が密着しすぎて大きくならないので、1房当たりの果粒数を調節する摘粒を行う。
傷のある果粒や小さい果粒、込み合っている部分の果粒などを取り除き、巨峰などの大粒品種は1房30~35粒、そのほかの品種では60~70粒、デラウェアでは90~100粒程度を残す。
ブドウは果実が品種特有の色に色づき、十分に熟した頃に収穫を行う。
ブドウは房先の果粒が熟していれば収穫できる。果梗をハサミで切り取って収穫する。
ブドウの剪定時期は12月上旬から2月下旬。
花芽は新梢の葉腋につく(6~7月頃)。
剪定では込み合った部分の枝を間引き、新梢は2~3芽残して切り返す(樹勢が強いときは、7~8芽を残して新梢を切り返す)。
ブドウは枝の切り口から枯れやすいため、枝を切るときは芽の直上で切らず、芽と芽の中間で切るようにする。
仕立て方は棚仕立て、垣根仕立てなどが向く。
皮ごと食べられる種なしの”秋鈴”、粒が細長くて皮ごと食べられる”マニキュアフィンガー”、果皮が黄緑で皮ごと食べられる”瀬戸ジャイアンツ”などがあります。
ブラックベリー・ラズベリー
果樹名 | ブラックベリー・ラズベリー |
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種類 | 落葉果樹 |
科目 | バラ科 |
栽培適地 | ブラックベリーは関東地方以西。ラズベリーは関東地方以北(夏に冷涼な気候を好む) |
結実まで | 2年 |
受粉樹 | 不要 |
花芽分化 | 7~8月頃(花芽は混合花芽) |
ブラックベリー、ラズベリーの苗木の植え付け時期は11月(温暖地)と3月(寒冷地)。
自家結実性があり、1本でも結実するので受粉樹は必要としない。
ブラックベリーの収穫は果実全体が濃く色づいて、やわらかくなった頃に行う。収穫時期になったものから順次、ヘタごと摘み取って収穫していく。ブラックベリーはラズベリーと異なり、熟しても果実と花托は離れず、花托ごと収穫できるので果実がつぶれにくい。
ラズベリーの収穫は果実をつまんで引っ張ると花托から果実が簡単に離れるようになった頃に行う。ラズベリーは熟すと果実と花托が離れやすくなる。収穫した果実は中が空洞なので、つぶさないよう注意する。
ブラックベリー、ラズベリーの剪定は夏季(6~8月頃)と冬季(12~2月頃)に行う。
一季なり性の品種は、新梢の葉腋に花芽がつき、翌年、開花結実する(実のついた結果母枝は冬までに枯れる)。
二季なり性の品種では、さらに、春に発生したシュート(株元から出る枝)の先端にも花芽がつき、夏から秋にかけて開花結実する。
夏季剪定では、風通しや日当たりをよくするため、収穫後、実のついた結果母枝を早めに株元から間引く。
冬季剪定では、直立性品種の場合、株仕立てにして、結果母枝を株元から1~1.5mのところで切り返し、貧弱な結果母枝や枯れ込んだ結果母枝などを間引いて、1株あたり5~10本の結果母枝を残す。ほふく性品種の場合は垣根仕立てにして、結果母枝を株元から1.5~2mのところで切り返し、1株あたり3~4本の結果母枝を残す。
二季なり性の品種では、秋に実がついた枝の下の部分は、翌年の結果母枝となるので、間引かずに残しておく。
ラズベリーやブラックベリーにはトゲのあるもの・ないもの、一季なりのもの・二季なり(初夏と秋に収穫できる)のもの、樹姿が直立性のもの(ラズベリーに多い)・ほふく性のものなどがあります。果実の色には赤、黄、黒、紫などがあります。
トゲなしの”トリプルクラウン”、通常種の1.5倍ほどの大実でトゲなしの”ジャンボブラックベリー”、赤実で二季なりの”インディアンサマー”などがあります。
ブルーベリー
果樹名 | ブルーベリー |
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種類 | 落葉果樹 |
科目 | ツツジ科 |
栽培適地 | サザンハイブッシュ系・ラビットアイ系は関東地方以西。ノーザンハイブッシュ系は関東地方以北(冷涼な気候を好む) |
結実まで | 2~3年 |
受粉樹 | 品種による |
花芽分化 | 7~9月頃(花芽は純正花芽) |
ブルーベリーの苗木の植え付け時期は11月上旬から12月下旬(温暖地)と3月(寒冷地)。
ハイブッシュ系は自家受粉するが、ラビットアイ系は自家受粉しにくいので、同系統のなかから受粉樹となる他品種を受粉樹として混植する必要がある(ハイブッシュ系でも受粉樹があったほうが大きな実になる)。
ブルーベリーは酸性土壌を好むので、苗を植え付けるときは、ピートモスを土に混ぜる。目安はハイブッシュ系がpH4.3~4.8、ラビットアイ系がpH4.3~5.5。
ブルーベリーの根は浅根性で乾燥に弱いため、株元をバークチップやワラ、落ち葉などでおおって、乾燥を防ぐようにする。
他品種を混植してあれば、虫媒などで自然に受粉するが、開花したら、筆先で花の中を交互にさわり、人工授粉をすれば、より確実に実がつく。
ブルーベリーは果実が濃い藍色になり、果梗部のつけ根まで色づいたものから収穫を行う。熟した果実は指でつまむと、簡単に果梗部からとれるようになる。
ブルーベリーの果実は熟期にバラつきがあり、いっぺんに成熟しないので、熟したものから先に収穫する。
収穫した果実をすぐに生食しない場合、袋に入れて冷蔵すれば10日程度保存できるが、それ以上、保存する場合は冷凍保存にする。
ブルーベリーの剪定時期は6月頃(夏季)と12月上旬から2月下旬頃(冬季)。
植え付けから1~2年は、株を充実させるため、剪定はほとんど行わない。花芽は新梢の先端付近につくので(7~9月頃)、枝に花芽がついた場合は切り返して、植え付けから1~2年は結実させないようにする。本格的な剪定は3年目から行う。
夏季剪定では、実をつける枝を増やすため、新梢の先端を1/3程度切り返す。切り返すことで、枝が分岐し、枝につく花芽の数が増える。
冬季剪定では、込み合った部分の枝を間引き、樹冠内部までよく日が当たるようにする。3~4年、実をつけたシュート(株元から出る枝)は実つきが悪くなるので、株元から間引いて、新しいシュートに更新する。
仕立て方には株仕立てが向く。
日本で栽培されているブルーベリーの主な系統には、ノーザンハイブッシュ系、サザンハイブッシュ系、ラビットアイ系の3つがあります。果実には目によいとされるアントシアニンが豊富に含まれています。
果実が500円玉サイズの”チャンドラー”、ハイブッシュ系とラビットアイ系の交配種で果実がピンク色の”ピンクレモネード”などがあります。
ポポー
果樹名 | ポポー |
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種類 | 落葉果樹 |
科目 | バンレイシ科 |
栽培適地 | 北海道南部以南 |
結実まで | 3~4年 |
受粉樹 | あるとよい(実つきがよくなる) |
花芽分化 | 8月頃(花芽は純正花芽) |
ポポーの苗木の植え付け時期は12月(温暖地)と3月(寒冷地)。
ポポーは基本的に1本でも結実する。ただし、ポポーには雌しべが先に成熟して、遅れて雄しべが成熟するという性質があるため、1本だけでは結実が不安定になる場合がある(雄しべが成熟して花粉を出す頃には、すでに雌しべは受精能力を失っていることが多い)。安定して結実させるには、受粉樹(他品種)を一緒に植えるとよい。
開花したら、確実に結実させるため、雄しべの花粉を他品種の雌しべにすりつける人工授粉を行う。
受粉樹を植えていない場合は、早く咲いた花から花粉を採取して冷蔵庫に保存し、その花粉を人工授粉に使用する、という方法もある。
たくさんの実がついた場合は、1枝に1~2果、葉10枚あたり1果となるように摘果を行う。
ポポーの収穫は果皮が黄緑色になって柔らかくなった頃に行う(熟すと自然に落果する)。収穫後、数日、追熟させると甘みと香りが増す。
ポポーの剪定時期は12月上旬から1月下旬。
花芽は新梢の基部から中央部にかけてつく(8月頃)。短い枝の場合、花芽は先端付近につく。
剪定では込み合った部分の枝を間引いて、樹冠内部の日当たりをよくする。
仕立て方は変則主幹形などが向く。
最大果重400gにもなる”NC-1″、果重200g前後で豊産性の”サンフラワー”、コンパクトで鉢植えにも向く”プロリフィックス”などがあります。
マルメロ
果樹名 | マルメロ |
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種類 | 落葉果樹 |
科目 | バラ科 |
栽培適地 | 関東地方以北(雨が少なく夏に冷涼な地域) |
結実まで | 4~5年 |
受粉樹 | 必要 |
花芽分化 | 7~8月頃(花芽は混合花芽) |
マルメロの苗木の植え付け時期は12月上旬から3月下旬。
マルメロは自家結実性が低く、安定して結実させるには受粉樹(他品種)が必要。
マルメロは自家結実性が低いので、開花したら、確実に結実させるため、他品種の花粉をつける人工授粉を行う。
5月下旬から6月上旬頃に摘果を行う。
小中果種で葉40枚あたり1果、大果種で葉60枚あたり1果を目安に残し、ほかは摘果する。
マルメロの収穫は果実が緑色から黄色になって、特有の芳香がするようになった頃に行う。
マルメロの剪定時期は12月上旬から2月下旬。
マルメロの花芽は新梢の先端付近によくつく(7~8月頃)。
切り返し剪定はなるべく控えて、込み合った部分の枝を間引く、間引き剪定を主体にして、樹冠内部までよく日が当たるようにする。
仕立て方は変則主幹形などが向く。
モモ・ネクタリン
果樹名 | モモ・ネクタリン |
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種類 | 落葉果樹 |
科目 | バラ科 |
栽培適地 | 東北地方中部以南 |
結実まで | 3年 |
受粉樹 | モモは品種による。ネクタリンは不要 |
花芽分化 | 7~8月頃(花芽は純正花芽) |
モモ、ネクタリンの苗木の植え付け時期は12月(温暖地)と3月(寒冷地)。
モモは自家結実するが、なかには花粉が少ない品種がある。花粉が少ない品種を栽培する場合は、受粉樹として花粉の多い品種の混植が必要。
ネクタリンは1本でも結実するので受粉樹は不要。
モモ、ネクタリンは耐陰性が弱く、日陰では枝が枯れやすいので、植え付け場所には注意する。
蕾がふくらんできたら摘蕾を行う。
摘蕾では上向きの蕾を取り除き、下向きや横向きの蕾を残す。摘蕾をすることで養分の消耗を抑え、果実の肥大を促進する。
モモの花粉の少ない品種では、開花したら人工授粉を行う。
人工授粉は樹全体の6~7割の花が咲いた頃に行い、花粉の多い品種の花を花粉の少ない品種の花につけて受粉させる。
結実後、摘果を2回に分けて行う。
1回目の摘果は満開から3~4週間後に行う。
2回目の摘果は5月中・下旬頃に行い、最終的に30cm以上の長果枝は2果、20cm前後の中果枝は1果、15cm以下の短果枝は5本で1果を残すようにする。
袋かけをした場合は、収穫の1週間前になったら袋を外し、果実を日光に当て着色させる。
果実が色づいて、よい香りがしてきたら収穫をする。
モモ、ネクタリンの剪定時期は12月上旬から2月下旬。
花芽は新梢の葉腋につく(7~8月頃)。特に中果枝や長果枝に花芽がよくつく。
剪定では込み合う部分の枝や徒長枝などを間引き、樹冠内部に日が当たるようにし、そのほかの枝は先端に葉芽が2~3芽残るように切り返す。モモ、ネクタリンの剪定では、よく実がつく、中・長果枝を多くつくるようにする。
仕立て方は変則主幹形、開心自然形などが向く。
ネクタリンはモモの変種です。果皮に毛がなく、果実は皮ごと食べられます。
西遊記で孫悟空が食べたとされる扁平の桃”蟠桃”、花が八重咲きで美しい”ひなのたき”、皮ごと食べられるネクタリンの”ファンタジア”などがあります。
ヤマブドウ
果樹名 | ヤマブドウ |
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種類 | 落葉果樹 |
科目 | ブドウ科 |
栽培適地 | 北海道から本州・四国地方(夏に高温となる地域で栽培すると果実が小さくなりやすい) |
栽培特性 | 寒さに強い |
結実まで | 3~4年 |
受粉樹 | 必要(1本で実のなる品種もある) |
ヤマブドウの苗木の植え付け時期は11月中旬から12月下旬(温暖地)と3月(寒冷地)。
ヤマブドウは雌雄異株で、結実するのは雌木なので、植え付けるときは、雌木と受粉用の雄木の2本を一緒に植える必要がある。受粉は一般のブドウの花粉でも可能だが(巨峰などの四倍体品種は除く)、ヤマブドウは開花が早く、開花期の合うブドウが少ないため、雄木を混植するのが一般的。
開花したら、雄花の花粉を雌花につける人工授粉をすれば、より確実に受粉できる。
ヤマブドウは9月下旬から10月下旬頃、十分に果実が着色した頃に収穫をする。
果実は色づき始めてから成熟するまでの期間が長い。十分に熟してから収穫をしないと酸味が残る。降霜前までには収穫を終えるようにする。
ヤマブドウの剪定時期は12月上旬から1月下旬。
花芽(混合花芽)は新梢の葉腋につく。
切り返し剪定を主体にして、長い枝は10~15芽、短い枝は2~5芽で切り返す。枝が水平、もしくは垂れ下がっているときに花芽がよくつくので、枝は水平、または下向きに誘引する。
仕立て方は垣根仕立てが向く。
ヤマブドウ(山葡萄)は北海道から本州、四国にかけて分布する野生ブドウの一種です。果実は小さく酸味が強く、主にワインの原料として利用されます。
ユスラウメ
果樹名 | ユスラウメ |
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種類 | 落葉果樹 |
科目 | バラ科 |
栽培適地 | 全国 |
結実まで | 2~3年 |
受粉樹 | 不要 |
花芽分化 | 8月頃(花芽は純正花芽) |
ユスラウメの苗木の植え付け時期は12月上旬から3月下旬。
自家受粉でよく結実するため、受粉樹は必要としない。
多く結実した場合は、5月上旬頃に葉2~3枚あたり1果になるように摘果を行う。
ユスラウメの収穫は6月頃に行う。果実の色が濃くなったら収穫する。白実種より赤実種のほうが若干、成熟が早い。
ユスラウメの剪定時期は1月上旬から2月下旬。
花芽は新梢の葉腋につく(8月頃)。特に短果枝に花芽がよくつく。
剪定では込み合った部分の枝を間引いて、樹冠内部に日が当たるようにする。長く伸びた枝は先端を1/4程度切り返して、短果枝を発生させる。
仕立て方は変則主幹形などが向く。
ユスラウメの果実は直径1cm程度で、サクランボのような味がします。ユスラウメには赤い果実をつける赤実種と、白い果実をつける白実種があります。果実は白実種のほうがやや大きめですが、実つきがよいのは赤実種のほうです。
赤い実をつける”赤実ユスラウメ”、白い実をつける”白実ユスラウメ”などがあります。
リンゴ
果樹名 | リンゴ |
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種類 | 落葉果樹 |
科目 | バラ科 |
栽培適地 | 北海道中部以南から九州地方北部(7.2℃以下の低温に長時間あたらないと発芽が揃わない場合がある) |
結実まで | 5年(矮性台木苗は3年) |
受粉樹 | 品種による |
花芽分化 | 7~8月頃(花芽は混合花芽) |
リンゴの苗木の植え付け時期は12月上旬から3月下旬。
リンゴには1本でも結実する品種と1本では結実しない品種がある(品種の多くは1本では結実しない)。1本では結実しない品種の場合、他品種を混植して受粉させる必要がある(結実しない組み合わせもあるので注意する)。
開花したら、1本では結実しない品種の場合、人工授粉を行うと実つきがよくなる。花粉をもう一方の品種の雌しべにつけて受粉させる。
結実後、摘果を2回に分けて行う。
最初の摘果は果実の直径が1cmくらいの頃に行い、1花房に1果となるように中心果を残し、それ以外は摘み取る。
2回目の摘果は果実がピンポン玉くらいの大きさになった頃に行い、大果の品種では4~5花房に1果、中果の品種では3花房に1果を残す。アルプス乙女などの極小果の品種では1花房に1~2果とする。
リンゴは日に当たって十分に色づいた果実から順に収穫を行う(袋かけをした場合は、収穫の1ヶ月前になったら袋を外し、日に当てる)。
晩生品種では凍害にあわないよう注意する。
リンゴの剪定時期は12月上旬から2月下旬。
リンゴは短果枝に良い実がつく。
徒長枝や込み合った部分の枝を間引く、間引き剪定を主体にして、樹冠内部までよく日が当たるようにする。長い枝は先端を1/3程度切り返すと短果枝が発生しやすくなる。
仕立て方には主幹形や変則主幹形、エスパリエ仕立てなどが向く。
リンゴには広い場所がなくても栽培できる、カラムナータイプの品種があります。カラムナータイプの品種は側枝が伸びず、円筒状の樹形に育ち、果実が密生してつくのが特徴です。
樹上で果実が成熟してくると、品種によっては果実に蜜が入る場合があります。蜜が入りやすい品種はふじ、紅玉、アルプス乙女などで、入りにくい品種はつがる、千秋、王林などです。
カラムナータイプで1本でも結実する”メイちゃんの瞳”、大果で果肉が赤い”ルビースイート”、蜜が全面に入る”ハニーアップル”などがあります。
柑橘類を栽培する
キンカン
果樹名 | キンカン |
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種類 | 柑橘類 |
科目 | ミカン科 |
栽培適地 | 関東地方南部以西(年平均気温が16℃以上で冬の最低気温が-5℃以下にならない地域) |
結実まで | 3~4年 |
受粉樹 | 不要 |
花芽分化 | 6月頃。花芽分化から開花までの期間は、一般的な柑橘類(3~4ヶ月)と異なり、1ヶ月程度と短い |
キンカンの苗木の植え付け時期は3月下旬から4月上旬。
自家結実性があり、1本でも結実するため、受粉樹は必要ない。
大きい果実を収穫したい場合は、9月頃に小果や傷ついた果実などを摘み取り、枝長10cmあたり1果になるように摘果を行う。
キンカンの収穫は12月以降、果皮が濃い黄橙色になった頃に行う。熟すと果皮も甘くなる。
キンカンの剪定時期は3月。
花芽は主に、当年の春(4月下旬から5月頃)に伸びる新梢につく(6月頃)。
込み合った部分の枝を間引く、間引き剪定を主体にして、樹冠内部までよく日が当たるようにする。
キンカンは剪定後に花芽がつくため、他の柑橘類に比べると、自由に剪定ができる。仕立て方には開心自然形などが向く。
キンカンの果実は皮ごと生食できるのが特徴です。花は7月から8月頃にかけて3~4回咲きます。
代表的品種の”寧波金柑”、食味が良く種が少ない”ぷちまる”などがあります。
デコポン
果樹名 | デコポン |
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種類 | 柑橘類 |
科目 | ミカン科 |
栽培適地 | 関東地方南部以西(年平均気温が16℃以上で冬の最低気温が-5℃以下にならない地域) |
結実まで | 4~5年 |
受粉樹 | 不要 |
花芽分化 | 1~3月頃(花芽は混合花芽) |
デコポンの苗木の植え付け時期は3月下旬から4月上旬。
単為結果性があり、1本でも結実するため、受粉樹は不要。
隔年結果を防ぐために、結実したら摘果を行う。
摘果は生理落果後の7月下旬から8月中旬頃に行い、葉100枚あたり1果になるように、傷果や小玉果などを取り除く。
デコポンは1月下旬から2月下旬頃に収穫し、1~2ヶ月貯蔵する。一定期間貯蔵することで、減酸されて食味がよくなる。
早どりすると低糖度の果実になるので、適期に収穫をする。
デコポンの剪定時期は3月。
枝は年3回、春・夏・秋に伸びる。花芽は前年の春枝(春に伸びた枝)によくつく(1~3月頃)。前年、実がついた枝には花芽はつかない。
デコポンを剪定する場合は、切り返し剪定はなるべく控えて、込み合った部分の枝を間引く、間引き剪定を主体にして、樹冠内部までよく日が当たるようにする。
仕立て方には開心自然形などが向く。
隔年結果(着果の多い表年と着果の少ない裏年を交互に繰り返すこと)する場合は、ミカンの隔年結果対策を参考にする。
デコポンは流通する果実の名前(商標登録名)で、品種名は不知火(しらぬい)といいます。デコポンは果梗部にデコができるのが特徴で、デコは開花前の昼夜の寒暖差が激しいときや、樹勢が強いときに発生しやすくなります。
普通のデコポンより酸が抜けやすい”早生デコポン”などがあります。
ナツミカン・アマナツ・ハッサク
果樹名 | ナツミカン・アマナツ・ハッサク |
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種類 | 柑橘類 |
科目 | ミカン科 |
栽培適地 | 関東地方南部以西(アマナツは年平均気温が16℃以上で冬の最低気温が-5℃以下にならない地域。ハッサクは年平均気温が15.5℃以上で冬の最低気温が-5℃以下にならない地域) |
結実まで | 4~5年 |
受粉樹 | ナツミカン、アマナツは不要。ハッサクは必要 |
花芽分化 | 1~3月頃(花芽は混合花芽) |
ナツミカン、アマナツ、ハッサクの苗木の植え付け時期は3月下旬から4月上旬。
ナツミカン、アマナツは自家結実性があり、1本でも結実するため、受粉樹は不要。
ハッサクは自家結実性が低いので、ナツミカンやアマナツなどの受粉樹の混植が必要。単植では種子のない小さな果実になる。
ハッサクは開花したら、ナツミカンやアマナツなどの花粉を用いて人工授粉する。人工授粉することで、実つきがよくなり、果実も大きくなる。
隔年結果を防ぐために、結実したら摘果を行う。
摘果は生理落果後の7月下旬から8月中旬頃に行い、ナツミカン、アマナツでは葉100~120枚あたり1果、ハッサクでは葉80~100枚あたり1果になるように傷果や小玉果などを取り除く。
ナツミカン、アマナツ、ハッサクは寒害をうけないように、12月中旬から1月上旬頃に収穫する。収穫後、貯蔵して減酸させてから食べる(ハッサクの場合は5℃で1~2ヶ月貯蔵)。
暖地では樹上越冬させて、アマナツ、ハッサクは2月から3月頃、ナツミカンは4月から5月頃に収穫して食べるとおいしい。
ナツミカン、アマナツ、ハッサクの剪定時期は3月。
枝は年3回、春・夏・秋に伸びる。花芽は前年の春枝(春に伸びた枝)によくつく(1~3月頃)。前年、実がついた枝には花芽はつかない。
ナツミカン、アマナツ、ハッサクを剪定する場合は、切り返し剪定はなるべく控えて、込み合った部分の枝を間引く、間引き剪定を主体にして、樹冠内部までよく日が当たるようにする。
仕立て方には開心自然形などが向く。
隔年結果(着果の多い表年と着果の少ない裏年を交互に繰り返すこと)する場合は、ミカンの隔年結果対策を参考にする。
ナツミカンは山口県で発見された柑橘類です。果実は400~500g程度と大きく、酸味が強いのが特徴です。別名、夏ダイダイとも呼ばれます。今では果実はほとんど流通していません。
アマナツ(甘夏)はナツミカンの枝変わり(変異種)で、ナツミカンより、酸味が少なく食べやすいのが特徴です。別名、川野夏ダイダイとも呼ばれます。アマナツはスーパーなどでよく見かけます。
甘夏よりも酸味が少なく食べやすい”紅甘夏”、八朔の枝変わりで普通の八朔より糖度が高い”紅八朔”などがあります。
ネーブルオレンジ・ブラッドオレンジ
果樹名 | ネーブルオレンジ・ブラッドオレンジ |
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種類 | 柑橘類 |
科目 | ミカン科 |
栽培適地 | 関東地方南部以西(ネーブルオレンジは年平均気温が16℃以上で冬の最低気温が-5℃以下にならない地域) |
結実まで | 4~5年 |
受粉樹 | 不要 |
花芽分化 | 1~3月頃(花芽は混合花芽) |
ネーブルオレンジ、ブラッドオレンジの苗木の植え付け時期は3月下旬から4月上旬。
1本で結実するため、受粉樹は不要。
結実したら、隔年結果を防ぐため、7~8月頃に摘果を行う。
ネーブルオレンジでは葉90~100枚あたり1果を残す。摘果では外傷果や小玉果、裂果しやすいへその大きなものを取り除く。
ブラッドオレンジ(品種タロッコ)では葉70枚あたり1果を残す。タロッコの場合、大果より小果のほうが、赤みが濃くなる傾向にある。
ネーブルオレンジは12月上旬から1月上旬頃に収穫して、1~3ヶ月貯蔵する。一定期間貯蔵することで、減酸されて食味がよくなる。
ブラッドオレンジは3月上旬から4月上旬頃に収穫する。
ネーブルオレンジ、ブラッドオレンジの剪定時期は3月。
枝は年3回、春・夏・秋に伸びる。花芽は前年の春枝(春に伸びた枝)によくつく(1~3月頃)。前年、実がついた枝には花芽はつかない。
ネーブルオレンジ、ブラッドオレンジを剪定する場合は、切り返し剪定はなるべく控えて、込み合った部分の枝を間引く、間引き剪定を主体にして、樹冠内部までよく日が当たるようにする。
仕立て方には開心自然形などが向く。
隔年結果(着果の多い表年と着果の少ない裏年を交互に繰り返すこと)する場合は、ミカンの隔年結果対策を参考にする。
ネーブルオレンジは果頂部が二重果となるのが特徴で、へそ(ネーブルはへその意味)のように見えることから、この名がつきました。
ブラッドオレンジはヨーロッパ原産のオレンジで、果皮と果肉にアントシアニンを含むのが特徴です。
豊産性で酸の抜けが早い”清家ネーブル”、果肉が赤いブラッドオレンジ”タロッコ”、タロッコより果実は小さいが赤みが強い”モロ”などがあります。
ミカン
果樹名 | ミカン |
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種類 | 柑橘類 |
科目 | ミカン科 |
栽培適地 | 関東地方南部以西(年平均気温が15~18℃で冬の最低気温が-5℃以下にならない地域) |
結実まで | 4~5年 |
受粉樹 | 不要 |
花芽分化 | 1~3月頃(花芽は混合花芽) |
ミカンの苗木の植え付け時期は3月下旬から4月上旬。
単為結果性が強く、受粉しなくても結実するため、受粉樹は不要。
温暖な地域以外で栽培する場合は、熟期の早い品種を選ぶ。
隔年結果を防ぐために、結実したら摘果を行う。
摘果は生理落果後の7月下旬以降に行い、葉25~30枚あたり1果になるように、傷んだ実や小さい実などを取り除く。
ミカンの収穫は果皮が緑色からオレンジ色に色づいた頃に行う。
遅くまで果実をつけておくと花芽のつきが悪くなるので、年内には収穫を終えるようにする。
ミカンの剪定時期は3月。
枝は年3回、春・夏・秋に伸びる。花芽は前年の春枝(春に伸びた枝)によくつく(1~3月頃)。前年、実がついた枝には花芽はつかない。
剪定では込み合う部分の枝を間引いて、樹冠内部まで日が当たるようにする。枝は開くように誘引すると花芽がつきやすくなる。
仕立て方には開心自然形などが向く。
ミカンなどの柑橘類は、前年、実がついた枝には花芽がつかないため、ほかの果樹に比べ、隔年結果(着果の多い表年と着果の少ない裏年を交互に繰り返すこと)しやすい。
対策として、前年が表年だった場合は、不要枝を間引く程度の軽い剪定にとどめて、花芽をできるだけ残し、前年が裏年だった場合は、切り返し剪定を多めに行い、結果母枝(春枝)を多く発生させるようにする。
切り返し剪定をするときは、夏枝・秋枝を切り返す。春枝+夏枝のように伸びた枝では、春枝と夏枝の境のところで切り返す。春枝+夏枝+秋枝のように伸びた枝では、夏枝の中間で切り返す。
春枝・夏枝・秋枝の見分け方は次のとおり。春枝は節間が短く充実している。夏枝は節間が広く、葉が大きい。秋枝は節間が広く、貧弱なものが多い。春枝は剪定したときの断面が円形だが、夏枝・秋枝は断面が三角形。
果皮が普通のミカンより紅い”小原紅早生”、浮皮が少ない”寿太郎”、極早生の”日南の姫”、紀伊國屋文左衛門が江戸へ運んだとされる”紀州みかん”などがあります。
ユズ・ハナユ・カボス・スダチ
果樹名 | ユズ・ハナユ・カボス・スダチ |
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種類 | 柑橘類 |
科目 | ミカン科 |
栽培適地 | 東北地方南部以南(ユズは年平均気温が13℃以上で冬の最低気温が-7℃以下にならない地域。カボス、スダチは年平均気温が14℃以上で冬の最低気温が-6℃以下にならない地域) |
結実まで | 3~4年 |
受粉樹 | 不要 |
花芽分化 | 1~3月頃(花芽は混合花芽) |
ユズ、ハナユ、カボス、スダチの苗木の植え付け時期は3月下旬から4月上旬。
自家結実性があり、1本でも結実するため、受粉樹は不要。
隔年結果を防ぐため、7月頃に摘果を行う。
ユズは葉100枚あたり1果、カボスは葉25枚あたり1果、ハナユは葉8枚あたり1果、スダチは葉5枚あたり1果になるように、傷果や小玉果などを取り除く。
ユズ、ハナユは8月中旬から12月上旬頃に収穫する(果皮が緑色の頃から収穫できる)。果汁が最も多くなるのは果皮が7~8割色づく10月頃。
カボス、スダチは8月中旬から10月中旬頃の果皮が緑色のうちに収穫する。熟すと果皮が黄色くなって、香りや酸味が減少する。
収穫した果実を保存するときは、ポリ袋に入れて冷蔵庫に入れておく。
ユズ、ハナユ、カボス、スダチの剪定時期は3月。
枝は年3回、春・夏・秋に伸びる。花芽は前年の春枝(春に伸びた枝)によくつく(1~3月頃)。前年、実がついた枝には花芽はつかない。
ユズ、ハナユ、カボス、スダチを剪定する場合、切り返し剪定はなるべく控えて、込み合った部分の枝を間引く、間引き剪定を主体にする。枝は開くように誘引すると結実しやすくなる。
仕立て方には開心自然形や主幹形仕立てなどが向く。
隔年結果(着果の多い表年と着果の少ない裏年を交互に繰り返すこと)する場合は、ミカンの隔年結果対策を参考にする。
ユズ、ハナユ、カボス、スダチは果汁や果皮を料理の風味づけなどに利用する柑橘類です。ハナユは一才ユズ、ハナユズ(花柚子)とも呼ばれ、花も料理の風味づけに用いられますが、果実の香りはユズより劣ります。カボスは大分県の特産、スダチは徳島県の特産です。
種のない”種なしカボス”や”種なしスダチ”、種なしで多汁のユズ”多田錦”などがあります。
レモン
果樹名 | レモン |
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種類 | 柑橘類 |
科目 | ミカン科 |
栽培適地 | 関東地方南部以西(年平均気温が15.5℃以上で冬の最低気温が-3℃以下にならない地域) |
結実まで | 3~4年 |
受粉樹 | 不要 |
花芽分化 | 1~3月頃(花芽は混合花芽)。7月以降に咲く花の花芽は同年に発生した新梢につく |
レモンの苗木の植え付け時期は3月下旬から4月上旬。
自家結実性があり、1本でも結実するため、受粉樹は不要。
レモンの花は5月から10月にかけて咲くが、木を弱らせないためにも、暖地以外では5~6月に開花・結実したものだけを成長させ、それ以降に結実したものは摘み取ったほうがよい(7月以降に開花したものは翌春以降に収穫となる)。
5~6月に開花・結実したものについては、7月下旬から8月頃に摘果を行う。
摘果では葉25~30枚あたり1果を残すようにする。
レモンの収穫は10月上旬から3月下旬頃に行う。
果実が黄色くなるのは12月頃からだが、レモンは緑色のもの(グリーンレモン)でも料理に利用できるので、10月頃から収穫できる。
緑色のレモンを黄色くする場合は、緑色のレモン数個とリンゴ1個を一緒にポリ袋に入れて、室内に置いておく。1週間ほどたてば、リンゴから発生するエチレンによって、緑色のレモンが黄色になる。
レモンの剪定時期は3月。
枝は年3回、春・夏・秋に伸びる。花芽は前年の春枝(春に伸びた枝)によくつく(1~3月頃)。
込み合った部分の枝などを間引く、間引き剪定を主体にする。枝は開くように誘引すると花芽がつきやすくなる。
仕立て方には開心自然形などが向く。
レモンは四季咲き性で、花は5月から10月にかけて3回ほど咲きます(最も多く咲くのは5月頃)。四季咲き性の強弱は品種によって異なります。
四季咲き性が強い”ユーレカ”、糖度10度で皮をむいてそのまま食べられる”スイートレモネード”、通常のレモンの4倍の大きさの”ポンテローザ”などがあります。
常緑果樹を栽培する
イチゴノキ
果樹名 | イチゴノキ |
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種類 | 常緑果樹 |
科目 | ツツジ科 |
栽培適地 | 北海道南部以南 |
栽培特性 | 半日陰でも育つ |
結実まで | 3年 |
受粉樹 | 不要 |
花芽分化 | 7~8月頃 |
イチゴノキの苗木の植え付け時期は3月下旬から4月下旬。
1本でも結実するので受粉樹は必要ない。
酸性土壌を好むので、植え付け時にはピートモスを土に混ぜて植え付けるとよい。ただし、土壌適応性の幅は広いので混ぜなくても育つ。
イチゴノキの収穫は果実が赤く色づいて熟した頃に行う。
収穫した果実は果実酒やジャムなどに加工して利用する。
イチゴノキの剪定時期は2月下旬から3月下旬。
花芽は新梢の先端付近につく(7~8月頃)。
切り返し剪定はなるべく控えて、樹冠内部の込み合う枝や枯れ枝を間引く程度にする。
イチゴノキは秋から冬にかけて、白や薄桃色の壷のような形をした花を咲かせ、同時期に果実も熟します。別名、ストロベリーツリーともいいます。果実は甘味が少なく、生食よりも加工用に適しています。
オリーブ
果樹名 | オリーブ |
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種類 | 常緑果樹 |
科目 | モクセイ科 |
栽培適地 | 関東地方以西(1月の平均気温が10℃以下になる地域でないと花芽がつかない) |
結実まで | 2~3年 |
受粉樹 | 品種による |
花芽分化 | 1~2月頃(花芽は純正花芽) |
オリーブの苗木の植え付け時期は3月上旬から4月下旬。
オリーブは多くの品種で自家受粉しないので、結実させるには受粉樹(他品種)の混植が必要(主に風媒によって受粉する)。
生理落果が終わる7月中旬以降になったら摘果を行う。
1房あたり2~3果を残し、ほかを摘み取る。
オリーブの収穫時期は果実の利用目的によって異なる。
果実をピクルスに利用する場合は、成熟前のまだ緑色のうちに収穫する。
オイル用として利用する場合は、果実が成熟して黒紫色になったものを収穫する。
オリーブの剪定時期は2月上旬から3月上旬。
花芽は前年伸びた枝の中間部につく(1~2月頃)。
剪定では込み合う部分の枝を間引いて、樹冠内部の日当たりをよくする。
仕立て方は変則主幹形などが向く。
オリーブは樹姿が美しく、観葉植物としても人気があります。果実はオリーブオイルの原料として有名ですが、ピクルスなどにも利用されます。オイル向き、ピクルス向きの品種があるので、目的に応じた品種を選びます。
ピクルス用とオイル用の”ミッション”、1本でも結実するオイル用の”ルッカ”、一般的な品種よりも成長が早い”HINAKAZE”などがあります。
クランベリー
果樹名 | クランベリー |
---|---|
種類 | 常緑果樹 |
科目 | ツツジ科 |
栽培適地 | 関東地方以北(夏に涼しい気候を好む) |
栽培特性 | 乾燥に弱い・明るい日陰でも育つ |
結実まで | 2~3年 |
受粉樹 | 不要 |
花芽分化 | 7~9月頃(花芽は混合花芽) |
クランベリーの苗木の植え付け時期は3月。
自家結実性があり、1本でも結実するので、受粉樹は不要。
酸性土壌を好むので、植え付け時にはピートモスを土に混ぜて植え付ける。目安はpH4.0~4.5。
1本でも結実するが、開花時に筆先で花の中をさわって人工授粉してやれば、実つきがよくなる。
クランベリーの収穫は果実が赤く色づいて、少しやわらかくなった頃に行う。
収穫後は冷蔵庫に入れれば1~2ヶ月、冷凍庫ではさらに長く保存できる。
クランベリーの剪定時期は1月上旬から2月下旬。
花芽は新梢の先端につく(7~9月頃)。
剪定は枯れ枝や込み合う部分の枝を間引く程度にする。花芽のついた枝先は切り返さないよう注意する。
仕立て方は低い垣根仕立てが向く。
クランベリーは樹高20cm程度の小低木で、秋になると細い枝に1cm程度の赤い果実をつけます。冬になると葉が紅葉して、春になると緑色に戻りますが、落葉はしません。
ビワ
果樹名 | ビワ |
---|---|
種類 | 常緑果樹 |
科目 | バラ科 |
栽培適地 | 関東地方南部以西(年平均気温が15℃以上で冬の最低気温が-3℃以下にならない地域) |
結実まで | 4~5年 |
受粉樹 | 不要 |
花芽分化 | 7~8月頃(花芽は純正花芽) |
ビワの苗木の植え付け時期は3月上旬から4月下旬。
自家結実性があり、1本でも受粉するので、受粉樹は不要。
ビワは枝先につく花房に100個前後の花がつく。全部結実させると、果実が大きくならないので、11月頃に蕾の数を減らす(間引く)摘蕾を行う。
田中(大果種)の場合は、花房下部の2段を残し、それより上を摘み取る。茂木(中果種)の場合は、花房中間部の3~4段を残し、他を摘み取る。
寒害の心配がなくなる3月から4月頃に摘果を行い、田中の場合は1果房に1~3果、茂木の場合は3~5果を残すようにする。
ビワの収穫は果実がオレンジ色に色づいて、やわらかくなった頃に行う。
ビワの剪定時期は9月。
花芽は中心枝(春に伸びた枝)の先端によくつく(7~8月頃)。
込み合った部分の枝を間引く、間引き剪定を主体にする。蕾のついた中心枝から、何本もの副梢が出ているときは、間引いて1本にする。
仕立て方は変則主幹形などが向く。
ビワは晩秋から冬にかけて開花し、初夏に果実が成熟します。葉は乾燥させてビワ茶などに利用できます。
代表的品種の”茂木”、やわらかく甘みが強い”なつたより”、果実が一般的なビワの倍以上の大きさの”クイーン長崎”などがあります。
フェイジョア
果樹名 | フェイジョア |
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種類 | 常緑果樹 |
科目 | フトモモ科 |
栽培適地 | 関東地方南部以西 |
結実まで | 4~5年 |
受粉樹 | 品種による |
花芽分化 | 8~9月頃(花芽は混合花芽) |
フェイジョアの苗木の植え付け時期は3月中旬から4月上旬。
フェイジョアには自家結実性がある品種とない品種がある。自家結実性がない品種を栽培する場合は、受粉樹となる別品種の混植が必要。
蕾が見えたら摘蕾を行う。
枝先より枝の基部につく果実のほうが大きくなるので、基部についた2個の蕾を残し、他の蕾は摘み取る。摘蕾しておけば、摘果は必要ない。結実後に摘果してもよい。
開花したら、自家結実性のない品種の場合、花を摘み取り、花粉を異なる品種の雌しべにつける人工授粉を行う。
自家結実性のある品種でも、人工授粉したほうが、より安定して結実する。1花で約10花に受粉できる。
フェイジョアの果実は熟していることが外観からでは分かりづらいため、自然落果したものや、手でさわると簡単にとれるものを収穫する。
収穫した果実は12~15℃くらいの室内に1週間程度おいて、追熟させると食味がよくなる。
フェイジョアの剪定時期は3月。
花芽は新梢の先端付近につく(8~9月頃)。
切り返し剪定はなるべく控えて、込み合った部分の枝を間引く、間引き剪定を主体にして、樹冠内部までよく日が当たるようにする。花芽のついた枝先は切り返さないよう注意する。
仕立て方は主幹形仕立てなどが向く。
フェイジョアの熟した果実はパイナップルとバナナをミックスしたような香りがします。花は肉厚で甘みがあり、エディブルフラワーとして食べることもできます。
1本でも結実する”クーリッジ”、”アポロ”、”プリティーグリーン”などがあります。
ムベ
果樹名 | ムベ |
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種類 | 常緑果樹 |
科目 | アケビ科 |
栽培適地 | 関東地方以西 |
栽培特性 | 半日陰でも育つ |
結実まで | 3~4年 |
受粉樹 | 不要 |
花芽分化 | 7~8月頃(花芽は混合花芽) |
ムベの苗木の植え付け時期は3月。
1本でも結実するので、受粉樹は不要。
ムベは1本でも結実するが、開花したら、雄花の花粉を雌花につけて人工授粉をすれば実つきがよくなる。
実がたくさんついたときは、幼果のうちに、1花房1~2個となるように摘果を行う。
形のよい実や大きい実を残し、他は摘み取る。
ムベは10月中・下旬頃、果実が色づいてやわらかくなった頃に収穫をする。ムベの果実は熟しても割れない。
ムベの剪定時期は12月上旬から1月下旬。
花芽は新梢の中間付近につく(7~8月頃)。
巻きづるは切り、貧弱な枝や込み合う部分の枝を間引き剪定する。つるは水平に誘引すると実がつきやすくなる。
仕立て方には棚仕立てや垣根仕立てなどが向く。
ムベはつる性なので、棚仕立てや垣根仕立てで栽培します。成長するにつれて小葉が3枚、5枚、7枚と増えていき、7枚になると結実します。
ヤマモモ
果樹名 | ヤマモモ |
---|---|
種類 | 常緑果樹 |
科目 | ヤマモモ科 |
栽培適地 | 関東地方南部以西 |
結実まで | 4~5年 |
受粉樹 | 必要 |
花芽分化 | 7~8月頃(花芽は純正花芽) |
ヤマモモの苗木の植え付け時期は3月下旬から4月上旬。
ヤマモモは雌雄異株で雌木と雄木がある。雌木だけでは結実できないので、受粉用の雄木が必要。近所に雄木がある場合は、風媒によって受粉するので受粉用の雄木を植える必要はない。近所に雄木がない場合や、確実に結実させる場合は雄木を混植する。
ヤマモモは大木になるので、植え付け場所はよく考えて決める。実生苗だと開花結実するまでに15年以上要するので、必ず接木苗を購入する。
隔年結果を防ぐため、生理落果後の5月中旬以降に葉5枚あたり1果を目安に摘果を行う。
ヤマモモの収穫は果実が緑色から暗赤紫色に色づいた頃に行う。
果実の熟期にはバラつきがあるので、熟したものから順次収穫する。
ヤマモモの剪定時期は2月上旬から3月下旬。
枝は年3回、春・夏・秋に伸びる。花芽は新梢(主に春に伸びた枝)の葉腋につく(7~8月頃)。
枝の込み合う部分などを間引く、間引き剪定を主体にする。仕立て方は開心自然形などが向く。
酸味が少なく食味に優れる”森口”、酸味が強く果実酒に向く”瑞光”、酸味が少なく甘い大実品種”秀光”などがあります。
果樹栽培に役立つ一覧表
果樹の栽培適地 一覧表
果樹の栽培適地を一覧表にまとめました。
栽培適地は目安です。記載の地域以外でも栽培できる場合、できない場合があります。
落葉果樹柑橘類常緑果樹
栽培適地 | 果樹 |
---|---|
全国 | イチョウグミ(落葉種)クリクワサルナシスモモプルーンナツメブドウユスラウメ |
北海道から本州・四国地方 | ヤマブドウ |
北海道から九州地方 | ウメ |
北海道中部以南から九州地方北部 | リンゴ |
北海道南部以南 | アンズザクロポポーイチゴノキ |
東北地方以北 | サクランボスグリフサスグリナシ(西洋ナシ・中国ナシ)ハスカップ |
東北地方以南 | アケビカキ(渋柿)クルミジューンベリー |
東北地方中部以南 | ネクタリンモモ |
東北地方南部以南 | イチジクキウイナシ(日本ナシ)カボススダチハナユユズ |
関東地方以北 | カリンラズベリーブルーベリー(ノーザンハイブッシュ系)マルメロクランベリー |
関東地方以西 | カキ(甘柿)グミ(常緑種)ブラックベリーブルーベリー(サザンハイブッシュ系・ラビットアイ系)オリーブムベ |
関東地方南部以西 | アマナツキンカンデコポンナツミカンネーブルオレンジハッサクブラッドオレンジミカンレモンビワフェイジョアヤマモモ |
果樹の結実までの年数 一覧表
果樹の結実までの年数(苗木を庭に植えてから実がなるまでの年数・収穫できるまでの年数)を一覧表にまとめました。
年数は目安です。栽培する品種や環境などによって、年数が異なる場合があります。少しでも早く収穫したい人は、3年生以上の大きな苗木を購入して植えることをおすすめします。
落葉果樹柑橘類常緑果樹
受粉樹が必要な果樹・不要な果樹 一覧表
受粉樹の必要な果樹(1本で実がならない果樹)と不要な果樹(1本でも実がなる果樹)を一覧表にまとめました。
分類は目安です。品種によっては例外も存在します。
落葉果樹柑橘類常緑果樹
果樹の科目 一覧表
果樹の科目を一覧表にまとめました。
落葉果樹柑橘類常緑果樹
科目 | 果樹 |
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アケビ科 | アケビムベ |
バラ科 | アンズウメカリンサクランボジューンベリースモモナシネクタリンブラックベリープルーンマルメロモモユスラウメラズベリーリンゴビワ |
クワ科 | イチジククワ |
イチョウ科 | イチョウ |
カキノキ科 | カキ |
マタタビ科 | キウイサルナシ |
グミ科 | グミ |
ブナ科 | クリ |
クルミ科 | クルミ |
ミソハギ科 | ザクロ |
スグリ科 | スグリフサスグリ |
クロウメモドキ科 | ナツメ |
スイカズラ科 | ハスカップ |
ブドウ科 | ブドウヤマブドウ |
ツツジ科 | ブルーベリーイチゴノキクランベリー |
バンレイシ科 | ポポー |
ミカン科 | アマナツカボスキンカンスダチデコポンナツミカンネーブルオレンジハッサクハナユブラッドオレンジミカンユズレモン |
モクセイ科 | オリーブ |
フトモモ科 | フェイジョア |
ヤマモモ科 | ヤマモモ |